研究課題
サブスタンスP(SP)は、タキキニンと総称される神経ペプチドで神経伝達物質として機能する。SPとその受容体であるNK1受容体は、情動行動、ストレス反応の制御に関連し、うつ病、不安障害などの精神疾患の病態との関連が示唆されてきた。最近、このSP-NK1受容体系がアルコールの過剰摂取に関与する脳内のストレス系、報酬系のプロセスを調節し、アルコール依存性の有用な治療標的となる可能性が示された。同報告によると、NK1受容体拮抗薬はアルコール依存性に関与する飲酒渇望(alcohol craving)プロセスに特異拮抗作用を示すことから、アルコール依存症の新しい治療薬になる可能性があるという。われわれはこれまで、陽電子断層撮像(PET)用NK1受容体用リガンド[18F]FE-SPA-RQを開発し、サルおよびヒトでNK1受容体の画像化に成功した。そこで、PET検査と機能的核磁気共鳴画像(fMRI)検査によって、アルコール依存症患者のNK1受容体機能変化とNK1受容体拮抗薬の飲酒渇望に対する効果を調べ、アルコール依存症の飲酒渇望症状におけるSP-NK1受容体系の関与を明らかにする研究を計画した。今年度は、健康被験者を対象に、刺激呈示によって飲酒渇望を誘発するための脳賦活試験の標準化を行った。その上で、NK1拮抗薬aprepitant飲酒渇望に伴う脳賦活への作用を調べる予備試験を実施した。
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