平成22年度までの実験結果をふまえ、抗がん剤としてはCDDP製剤を除くepiADR、MMCの2種類にしばり、超音波発生装置を利用したホイップ化に挑戦した。具体的には、ガラクトースとパルミチン酸の混合物の溶解によって形成されるマイクロバブルの量と抗がん剤粒子を混合し、バブルと液体の界面に捕獲可能な抗がん剤の量の決定に挑戦したが、安定したホイップ化は得られなかった。ドラッグデリバリーシステムとしてはすでに市販の殿粉球(DSM)や自己凝血塊などの短期塞栓物質が存在し、30分から2時間程度の薬剤停留が可能となっている。本研究は、病変局所での選択的な薬剤溶出の目的で、その前段階としてこれ以上の長時間、薬剤を局所に停留させるためにマイクロバブルの安定した作成を目標とし、混和のための超音波照射に関しては、マイクロバブルを破壊せず、かつ抗がん剤粒子を界面上で分散させるのに適当な照射条件を検討したが、現在の方法では困難なことが判明した。
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