研究概要 |
本研究では重粒子線とBNCTの新しい複合治療法について検討する。前段階として、使用するphitsコードの信頼性を確かめ、その後、人体中で発生する中性子でBNCT線量がどの程度得られるかを検討することを目的としている。 これまでに、生体等価物質としてアクリル板およびポリエチレン板、また、水素以外の炭素、酸素から生成する中性子を見積もるための炭素標的、以上3つの標的に_<13>Cビームを入射させ、中性子線の収量を放医研サイクロトロンにおいて測定を行った。また、phitsコードによるシミュレーションを行い測定値との比較を行い、現行のphitsコードには、_1H(_<13>C,n)_<13>N反応が考慮されておらず、そのままでは、検討する治療シミュレーションに入れないことが明らかとなった。したがって、phitsコードに組み込むために_1H(_<13>C,n)_<13>N反応断面積を測定している。本研究年度は、入射_<13>Cビームエネルギーとして、9MeV/核子の測定を行い、アクリル(_<13>C,n)およびC(_<13>C,n)の中性子発生断面積を同定した。C(_<13>C,n)の寄与をアクリル(_<13>C,n)から差し引くことで、_1H(_<13>C,n)_<13>N反応断面積を評価した。得られた断面積は、1H(_<13>C,n)_<13>N反応の2体反応運動学と矛盾が無いことが確認された。
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