CT肺癌検診認定制度が始まり、CT検診が現実のものとして稼働するに至った今日、微小肺癌、早期肺癌検出の急増が予想されるが、全てに標準手術を行うことには、様々な点から問題が提起され、縮小手術が治療戦略の表舞台に現れてきている。縮小手術は原則としてリンパ節転移の無い症例を対象にするが、その選別は容易ではない。昨今、CTですりガラス影を呈する気管支肺胞上皮癌(BAC)の中で、リンパ節転移を来たし得る野口分類type Bやtype Cを除外する試みが検討されているが、十分に確立したとは言い難い。本研究では細胞密度の低い細気管支肺胞上皮癌(BAC)の様な腫瘍の粗造な構造に着目し、「固い」腫瘍ほど悪性度が高いとの仮定を立て、吸呼気CTでその直径変化率・吸収値変化率を測定することで、「固さ」を表現し、気管支肺胞上皮癌の悪性度類推を試みるものである。 画像所見にてBACが疑われる手術療法前の症例を対象とし、VATS marker針留置時に穿刺プランの一環として撮影した画像を利用。単純CTで1ミリ厚、高分解能アルゴリズムにて拡大再構成(FOV 20cm)を行う。吸気と努力呼気の2相を撮影する。画像データをDICOMデータとして保存し、パーソナルコンピュータ上にて画像解析を行う。病理と対応させるため最大径を示すスライスで吸呼気双方のデータから病変内部の吸収値毎(100HU毎)のマッピングを作成する。本年度は11例の術前CT画像と病理所見を得ることができた。今後得られたCT画像と病理所見を比較検討、吸呼気CTによるBAC type分類の有効性を検証し発表する。
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