研究課題
従来、温熱による細胞死の主要因はタンパク質変性であると信じられてきた。最近、我々は科学的新事実に基づき、温熱による細胞死の主要因がDSBであることを提唱している。このような独創的な研究アプローチからDNA損傷認識および修復機構関連遺伝子のノックアウトマウス由来の細胞を用いて、温熱による放射線感受性の増感機構の解明を目指している。この増感メカニズムにおける各種遺伝子の関与を明らかにするばかりか、①DSB生成過程の促進によるものなのか、②DSB修復過程の抑制によるものなのかが解明され、放射線生物学の学術的な理解がより深まることが期待できる。どの遺伝子が本当に温熱による放射線増感効果に関与しているのかを明らかにすることを目的とした。各種DNA修復の遺伝子欠損MEF細胞と遺伝子変異CHO細胞およびそれらの親株細胞を用い、45.5℃温熱処理後の生存率をコロニー形成法で調べた。対照としてX線照射後の生存率を調べた。CHO細胞由来のSPD8細胞はhprt遺伝子のexon7が重複している。この細胞はHR修復されると正常型のhprt遺伝子に戻り、増殖培地に50 mM hypoxanthine, 10 mM L-azaserine, 5 mM thymidineを添加したHaST培地中で選択的にコロニー形成できる。SPD8細胞を42oC温熱3時間処理後、HaST培地と増殖培地に形成されたコロニー数を比較することで、HR修復能を調べた。これまでに調べた中で、DSB修復のHRにかかわるNBS1、BRCA1/2、BLMおよびXRCC2が欠損または変異した細胞がそれぞれの親株細胞に比べて温熱に感受性であることを見出した。また、温熱処理でHR修復能が高まることを見出した。以上のことから腫瘍特異性の高いHR修復が温熱感受性を高めるための標的になることが示唆された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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