初年度は、主として治療系の確立を実施した。 特に近い将来の臨床応用を前提として、「同所性モデルの作成」ならびに「臨床的に実施可能なバイオナイフ投与方法とそのレジメの確立」に徹底してこだわり、臨床的に十分な効果を発揮するために必要な情報を、小動物で得ることを目的とした。 具体的には 1.ヒトおよびマウス悪性中皮腫における同所性胸膜播種モデルの構築 2.ヒトおよびマウス消化器がんにおける同所性腹膜播種モデルの構築 を優先して実施した。 その結果、モデルの構築、自然予後等の検討は完了。本年度の成果として、ヒト腫瘍においては顕著な治療効果が複数の動物モデルで得られることを確認した。 現在、(1)単回投与と反復投与での治療効能の増強、に関する検討も終了。現在、(2)マウス腫瘍+immune competentの系において、バイオナイフの使用が抗腫瘍免疫に及ぼす影響について検討を開始している。既に消化器がんモデルにおいては、バイオナイフによる腫瘍の融解とバイオナイフそのもののアジュバント作用により、腫瘍そのものの消失だけでなく抗腫瘍免疫の成立を示唆するデータを得ており、この観点からも免疫学的検討を加える。
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