研究分担者 |
澤 芳樹 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00243220)
倉谷 徹 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (90448035)
坂口 太一 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (10467574)
宮川 繁 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (70544237)
白川 幸俊 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20457013)
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研究概要 |
1:右心バイパス手術(フォンタン手術)への適応: 【方法】対象患者は1985年から2007年までに初回フォンタン手術を行った19。うち2名は検査施行時までにTCPCconversion術が行われた。PC-CMRを用いた血流評価を13回行った。血流評価部位は上行大動脈(Ao)、上大静脈奇静脈合流部の中枢側(SVC)、下大静脈横隔膜面(IVC)、右肺動脈(RtPA)、左肺動脈(LtP幻とした。両側上大静脈症例、DKS吻合症例、TCPS症例では、必要な部位での血流計測を追加した。CMR撮影1ヶ月以内に行った心臓カテーテル検査におけるデータと比較検討した。 【結果】19名中8名が右室型単心室、11名が左室型単心室であった。各部位での血流はAo(32.2±9.36ml/beat/m^2)、SVC(9.25±3.27ml/beat/m^2)、IVC(23.3±19.7ml/beat/m^2)、RtPA(12.4±6.40ml/beat/m^2)、LtPA(12.7±4.00ml/beat/m^2)であった。上行大動脈血流量と静脈潅流血流量(Ao vs SVC+IVC:r=0.689, p=0.001)、及び肺動脈血流量(Ao vs RtPA+LtPA:r=0.800, p<0.001)は各々有意に正の相関を示した。心臓カテーテル検査との比較では、Aoでの血流量はカテーテル検査における心拍出係数(Fick法)と相関した(r=0.668, p=0.025)。また、肺動脈血流量は左室拡張末期圧LVEDPと有意な負の相関を示した(RtPA+LtPA vs LVEDP:r=-0.692,p=0.025)。 【結論】Phase contrast心臓MRIによる定量的評価は心臓カテーテル検査と相関し、かつ、カテーテル検査では得られない静脈潅流量、肺動脈血流量を計測することが出来有用であった。その非侵襲性とあいまって、血流シミュレーションはPC-CR皿によるデーター再構築により精度よく可能であると考えられた。今後臨床における更なる活用が期待されると考えられた。 2:他疾患への応用:右心不全モデルへの応用 【方法】2009年7月より2010年6月までの1年間に、75名のRVOT修復術を施行した患者(P)、及び健康な10名の対照群(C)にPC-CMRを施行した。肺動脈弁を通過するflow-volumeを計測し、Maximal Ventricular Powerdivided by the square of End-diastolic Volume(Pmax)を算出した。この数値はEmaxと極めてよく相関する、優れた収縮性の指標であり、前負荷及び後負荷の変動に依存しない数値である。Pmaxと他の数値との相関を検討した。 【結果】C群と比較し,P群では優位にPR volumeが多く(13.8±1.7 vs. 0.4±0.4ml/m^2/beat p<0.001)、RVEDViが高値を示した(117.6±4.0 vs. 74.2±2.94ml/m^2 p<0.001).Pmxは優位にRVEDViと負の相関を示した(r=-0.572, p<0.001)。ROC解析にてRVEDViはPmaxを(AUC 0.8, p<0.001)の正確さで予測しえた。そして、RVEDVi=99.3ml/m^2が正常な収縮の閾値であった。(sensitivity: 0.677, specificity: 0.789). 【結論】右室拡大による右心不全患者においてPC-CMRはその収縮性の評価において有用である。
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