研究課題/領域番号 |
22659263
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
矢野 茂敏 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 准教授 (60332871)
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研究分担者 |
秀 拓一郎 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (40421820)
倉津 純一 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (20145296)
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キーワード | 下垂体腺腫 / 腫瘍幹細胞 |
研究概要 |
本研究の目的は、下垂体腺腫における腫瘍幹細胞の存在を明らかとし、腫瘍発生および増大おける関与と分化による腫瘍多様性の関係を明らかにする。さらに腫瘍幹細胞の分化誘導による薬剤感受性獲得の可能性を探ることである。 まず下垂体腺腫の手術摘出標本から下垂体幹細胞培養条件の設定を継続して行った。本年度摘出した下垂体腫瘍は、非機能性下垂体腺腫24例、成長ホルモン(GH)分泌性下垂体腺腫4例、プロラクチン(PRL)分泌性下垂体腺腫3例であったが、このうち初代培養が可能であったものは、非機能性下垂体腺腫5例、GH産生性下垂体腺腫2例、PRL産生性下垂体腺腫1例、ACTH産生性下垂体腺腫2例であった。このうち、非機能性下垂体腺腫の2例において、DMEM/F12, B27+F, GEbFGF培養液による培養で、安定したsphere形成が確認された。 次にこれらの細胞を分化条件の培養液に変更し培養を継続したところ、GHおよびPRL産生細胞への分化傾向が認められた。細胞をマウス皮下に移植してみたが、腫瘍は増大しなかった。そこで再び培養を続け、細胞数を増やしているところである。 また同時期に摘出された下垂体腺腫患者標本をパラフィン固定し、腫瘍幹細胞の指標であるNestinのほかに、Gliomaの腫瘍幹細胞の指標として報告されているALDH1の抗体で染色し、腫瘍細胞に部分的に染色性が認められることを明らかにした。現在この陽性細胞の意義を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
思ったように下垂体幹細胞の数が増えないことが原因である。初期の細胞数を増やすことや、培養条件を変更するなどの検討を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
下垂体腫瘍摘出標本の免疫学的染色を優先し、下垂体幹細胞の存在と腫瘍増大や浸潤における意義を検討する方向に向ける。 同時に培養細胞を皮下で増殖する方法を検討する。
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