SNXファミリーは25サブタイプから構成される輸送タンパクであり、これらのヒト組織cDNAパネルを用いた逆転写リアルタイムPCRによる軟骨での発現を確認したところ、SNX19は軟骨細胞で高発現していた。これをレトロウィルスにてATDC5-C2ER細胞に導入し、特異的な赤い蛍光とCOL2A1遺伝子の発現上昇がみられることを確認した。in vivoでの発現パターンを免疫化学染色、whole mount in situ hybridizationにて確認したところ、Sox9と類似した発現パターンであり、軟骨の初期から後期分化にかけて広く発現し、徐々に増強する傾向があることが分かった。 リガンド、受容体を介する既知軟骨分化シグナル伝達系には、TGF-β/BMP2-SMAD経路、TGF-β/BMP2-TAK1-MKK6-p38経路、PTHrP-PTHR1-Gs-PKA経路、FGF-FGFR3-RAS-ERK経路、SHH-Ptch/Smo-GL1経路などが存在するが、スクリーニングで得られたSNX19とこれらシグナル伝達分子との関係を、過剰発現系においてウェスタンブロッティングにて評価したところ、特定のシグナル経路に強く関与する傾向はつかめなかった。SNXは輸送タンパクであるが、このような上流の特定の分子を輸送するものではない可能性が高く、SOX9を中心とした転写レベルに近いところが作用点である可能性が高い。
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