研究課題
自己軟骨細胞移植治療(ACT)は現在臨床にも用いられている期待される治療法であるが、移植軟骨細胞を効率よく大量に得る方法が課題となっている。単層培養下では軟骨細胞の形質転換に伴い細胞形態と表面マーカーに変化が起こることを明らかにした。これにより安定した形質を持つ細胞を得ることができるが、細胞数が限られるという問題も新たに発生した。培養過程で形質を安定させつつ、細胞増加を図る必要がある。最終目標は最も効率よく軟骨細胞の脱分化を抑制し、かつ細胞の増殖に影響しない物質を期間内に特定し、これをヒト軟骨細胞培養に用いて現状のACTの治療成績を改善することである。前課題の「軟骨細胞の代謝に対する各種薬剤の影響の検討-スクリーニングシステムの構築-」でスクリーニング系を確立した。本課題では転写因子SOX9の発現量増加に対する薬剤効果を検討し、候補化合物を複数見出すことが出来たが、一部の実験系では効果が有るものの、ヒト軟骨細胞では効果を明らかとすることが出来なかった。スクリーニング範囲を拡げる、細胞腫類を変更する等の改良を加えて、再度薬剤の探索を行っている。Back up研究からRunx2発現を増強させる物質を見出し、これを先行させて研究を続行した。最終的に候補物質を2種類に絞り込み、これら化合物がBMP刺激存在下で骨芽細胞形質の発現増強に関わること、骨芽細胞分化促進効果が有ることを確認した。作用機序の解明を進めBMP signalのnone-canonical pathwayに作用している事を確認した。この二種類の化合物は同一の薬効を持ち構造式の類似性がある。骨芽細胞分化促進剤(骨形成促進剤及びその用途)として特許申請(特願 2011-185306JP)を行った。現在、骨髄幹細胞に作用させて骨芽細胞分化促進剤としての臨床使用を計画している。現在行っている骨髄細胞由来骨芽細胞移植による骨延長促進臨床研究に適合させる予定である。
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