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2011 年度 実績報告書

ATPase阻害による新たな関節リウマチ治療法の開発 ‐破骨細胞を標的として‐

研究課題

研究課題/領域番号 22659276
研究機関京都府立医科大学

研究代表者

酒井 亮  京都府立医科大学, 医学研究科, 研修員 (50543542)

キーワード関節リウマチ / ATPase阻害 / 破骨細胞 / 関節疾患 / 抗炎症作用 / proton pump inhibitor
研究概要

Lansoprazole(LPZ)はProton pump inhibitor(PPI)として,本来P-ATPaseを介した作用を有する.しかし,前年度の研究成果から,LPZはマウスRAW264.7マクロファージにおいてP-ATPase阻害とは異なるメカニズムで抗炎症効果を有することが明らかとなった.本年度は,そのメカニズムについて詳細に解析した.
胃粘膜細胞や好中球では,PPIはreactive oxygen species(ROS)を抑制することで抗炎症作用を有することから,マクロファージでもLPZがROS量へ影響しているか検討した.LPZのみを添加した群ではROS量に影響を及ぼさなかった.lipopolysaccharide(LPS)刺激によって細胞内ROS量は約40倍に増加したが,その増加量はLPZを添加することによって有意に低下した.次に,LPS刺激によるNOおよびPGE2産生増加に対するROSの役割を明らかにするために,LPSによって上昇するROSをさまざまな抗酸化剤で抑制し,NOおよびPGE2量への影響を検討した.NO量はNACで抑制されなかったがNADPH oxidaseの抑制剤であるDPIでは著明に抑制された.しかし,PGE2量はNACおよびDPIのいずれも抑制されなかった.これらの結果から,LPS刺激によるNO産生において、NADPH oxidaseが関係している可能性が示唆された.さらに,LPZのNADPH oxidase活性に対する影響を検討した.LPS刺激でNADPH活性が約2倍に上昇したが,LPZの添加によって活性は低下した.NADPH oxidaseはROSであるsuperoxideの産生に関与する酵素であるため,X/XOによるsuperoxideによって誘導されるNO産生に対するLPZが抑制効果を検証した.X/XO刺激に対して上清中のNO量は上昇したが,LPZはNO産生に対して抑制効果がなかった.これらの結果からLPS刺激におけるNO産生はNADPH oxidase依存性であり,LPZはNADPH oxidase活性を抑制することでNO産生を抑制することが明らかになった.
以上の結果から,LPZは,これまで臨床応用されてきたP-ATPase阻害とは異なるメカニズムで抗炎症効果を有することが明らかとなった.LPZは胃腸疾患のみならず、他の炎症性疾患へ適応が広がる可能性がある.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Lansoprazole Inhibits Nitric Oxide and Prostaglandin E2 Production in Murine Macrophage RAW 264.7 Cells2012

    • 著者名/発表者名
      Shuji Nakagawa, Yuji Arai, Tsunao Kishida, Nobuyuki Hiraoka, Shinji Tsuchida, Hiroaki Inoue, Ryo Sakai, Osam Mazda, Toshikazu Kubo
    • 雑誌名

      Inflammation

      巻: Vol.35 ページ: 1062-1068

    • DOI

      DOI:10.1007/s10753-011-9412-7

    • 査読あり
  • [学会発表] Analysis of anti-inflammatory effects of lansoprazole on macrophages2011

    • 著者名/発表者名
      Inoue H, Arai Y, Nakagawa S, Terauchi R, Hiraoka N, Tsuchida S, Sakai R, Mazda O, Kubo T
    • 学会等名
      14th World Congress of the Osteoarthritis Research Society International (OARSI)
    • 発表場所
      Hilton San Diego Bayfront (San Diego, CA)
    • 年月日
      20110915-20110918
  • [学会発表] ランソプラゾールのマクロファージに対する抗炎症効果の解析関節リウマチへの応用を目指して2011

    • 著者名/発表者名
      井上裕章, 新井祐志, 中川周士, 寺内竜, 平岡延之, 土田真嗣, 酒井亮, 松田修, 久保俊一
    • 学会等名
      第26回日本整形外科学会基礎学術集会
    • 発表場所
      ベイシア文化ホール(群馬県)
    • 年月日
      2011-10-20

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公開日: 2013-06-26  

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