研究課題
腱形成におけるMkxの役割について個体レベルでの解析を行うため、Mkx遺伝子のExon2をVenusに置き換わるように遺伝子を改変したMkx遺伝子欠損マウスを作製した。膝蓋腱、尾腱を、12週齢のMkx遺伝子欠損マウスと野生型で比較したところ、腱組織の低形成が観察された。以上の結果より、Mkxが腱形成に関わることが示唆された。これらサンプルを用いて、H.E.染色およびアザン染色を腱・靱帯が発生する胎生期E14.5日より生体まで、経時的に組織学的解析を行い、どの時点で、腱・靱帯の異常が見られるかを明らかにする。同時に、野生型を用いたin situハイブリダイゼーションおよび免疫染色、ヘテロマウスを用いたGFP発現よりMkxの発現を発生時期、生後にわたって解析した。腱・靱帯組織の形成においては、結合組織の構成を電子顕微鏡によって解析し、腱の低形成のパターンがMkx-KOマウスにおいて観察されたことから、Mkxが腱の発生後期に重要な機能を持つことが示唆された。また、これらKOマウスを用いて生理学的な靱帯・腱のフェノタイプ解析として、張力の測定を行い、そのぜい弱性を明らかにした。腱・靱帯の細胞外マトリックスの構成成分で、腱の粘弾性に関与している、Decorin、Aggrecan、Biglycan、Lumican、Fibromodulinの発現をMkx-KOマウスで解析し、Mkxの表現系を分子レベルで検討した。これらの成果は、間葉系細胞からの腱前駆細胞への運命決定、腱への分化機構の解明に繋がり、腱損傷やエーラスダンロス症候群などの治療・診断の開発に重要な知見を提示する。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件)
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
巻: 107(23) ページ: 10538-10542