癌細胞選択的破壊による革新的浸潤癌膀胱温存治療「硼素膀胱局所動注中性子捕捉療法」

2011 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 22659292
• 研究機関: 大阪医科大学
• 研究代表者: 東 治人 大阪医科大学, 医学部, 教授 (40231914)
• 研究分担者: 宮武 伸一 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (90209916) ; 小野 公二 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (90122407) ; 鈴木 実 京都大学, 原子炉実験所, 准教授 (00319724) ; 右梅 貴信 大阪医科大学, 医学部, 講師 (90388265) ; 稲元 輝生 大阪医科大学, 医学部, 助教 (20330087)
• キーワード: 浸潤性膀胱癌 / 硼素中性子捕捉療法 / BNCT / 硼素 / 標的粒子線治療 / 硼素化合物 / 膀胱温存療法 / 加速器BNCT

研究概要

「研究の目的」硼素中性子捕捉療法(BNCT)は、癌細胞選択的に取り込まれる硼素(^<10>B)化合物を予め投与しておき、熱中性子線を照射することにより、^<10>Bを殆ど取り込まない正常細胞は障害されないが、^<10>Bを多く取り込んだ癌細胞では細胞内部で硼素と熱中性子の核反応が生じ、核反応により発生した高エネルギーの・線と^7Li粒子が癌細胞を選択的に破壊するという、"癌選択的な標的粒子線治療である。
我々は、1)膀胱周囲組織に極めて高濃度の硼素化合物を投与可能とする"BOAI法"(血流塞栓用バルーン付カテーテルを用いて膀胱動脈選択的に硼素化合物を動脈内投与する)を用いて、2)膀胱癌細胞、特に核内に選択的に集積、移行するべく特殊加工した"膀胱癌細胞親和性硼素化合物"を作成、投与することによって、膀胱癌細胞により選択的に高濃度の硼素化合物を取り込ませ、癌細胞を選択的に破壊するBOAI-BNCT法を考案した。
「本年度の業績」"膀胱癌細胞親和性硼素化合物"の作成:膀胱癌細胞の核内に選択的に集積、移行するべく特殊加工した膀胱癌細胞親和性硼素化合物を作成中である。硼素化合物(BSH)を、腫瘍に高発現するtransferrin(TF:腫瘍細胞に選択的に取り込ませるため)、および、Polyethylene glycol(PEG:網内系への取り込みを抑え、静脈中に高濃度のliposomeを保つため)でcoatingしたliposome内に包埋し、さらに核移行シグナル(NLS)を付加した"BSH-TF-PEG-liposome"を作成し、また、膀胱癌細胞表面抗原であるurinary bladder cancer antigen(UBC)に対する抗体を硼素化合物表面に付加することによって、より膀胱癌細胞に親和性の強い硼素化合物を開発中である。

研究成果

• [雑誌論文] Neoadjuvant and adjuvant chemotherapy for locally advanced bladder carcinoma : development of novel bladder preservation approach, Osaka Medical College regimen (2012)
  • 著者名/発表者名: Azuma H, Inamoto T, Takahara K, Ibuki N, Nomi H, Yamamoto K, Narumi Y, Ubai T
  • 雑誌名: Int.J.Oncol. 巻: 19 ページ: 26-38
  • DOI: 10.1111/j
  • 査読あり
• [雑誌論文] 局所浸潤膀胱癌に対する、「血流閉塞バルーン付カテーテルを用いた抗癌剤動注(BOAI)+血液透析(膀胱潅流後抗癌剤除去)、および放射線照射併用療法」の治療効果 (2012)
  • 著者名/発表者名: 東治人
  • 雑誌名: 医科学応用研究財団研究報告 巻: 29 ページ: 41-44
• [雑誌論文] 浸潤性膀胱癌に対する化学療法、および、新規膀胱温存療法"OMC-Regimen"の治療効果 (2011)
  • 著者名/発表者名: 東治人、稲元輝生、小山耕平、濱田修史、安倍弘和、古武彌嗣、増田裕、木山賢、坂元武、和辻利和、能見勇人、右梅貴信、山本弘和、鳴海善文
  • 雑誌名: 臨床泌尿器科 巻: 65(11) ページ: 809-819
  • URL: http://search.jamas.or.jp/index.php
• [雑誌論文] Utility of the novel bladder preservation therapy, BOAI-CDDP-radiation (OMC-regimen), for elderly patients with invasive bladder cancer (2011)
  • 著者名/発表者名: Azuma, H., Inamoto, T., Ibuki, N., Ubai, T., Kotake, Y., Takahara, K., Kiyama, S., Nomi, H., Uehara, H., Komura, K., Yamamoto, K., Narumi, Y., Katsuoka, Y.
  • 雑誌名: Int.J.Oncol. 巻: 38 ページ: 13-24
  • 査読あり
• [雑誌論文] Utility of transrectal ultrasonography guidance and seven key elements of operative skill for early recovery of urinary continence after laparoscopic radical prostatectomy (2011)
  • 著者名/発表者名: Azuma, H., Ibuki, N., Inamoto, T., Koyama, K., Utimoto, S., Fujisue, Y., Mizutani, Y., Nomi, H., Ubai, T., Katsuoka, Y.
  • 雑誌名: Int.J.Oncol. 巻: 38 ページ: 293-304
  • 査読あり
• [雑誌論文] 浸潤性膀胱癌に対する「血流閉塞バルーン付カテーテルによる抗癌剤動注(BOAI)+血液潅流後抗癌剤除去)、および放射線療法:"OMC-regimen"」の治療効果 (2011)
  • 著者名/発表者名: 東治人
  • 雑誌名: がん治療のあゆみ 巻: 30 ページ: 1-8
• [学会発表] 筋層浸潤膀胱癌に対しての膀胱温存療法 (2011)
  • 著者名/発表者名: 東治人
  • 学会等名: The Phomenix Conference
  • 発表場所: ANAホテル(宮崎)(招待講演)
  • 年月日: 2011-12-24