LH receptor (LH-R)は卵巣に発現し、LHに対応して卵巣の排卵時のシグナル伝達において重要な働きをしている。一方、子宮に発現しているという報告もされているため、今回我々は、子宮にLH-Rが発現しているかを検討し、また、その発現部位の確認と発現の制御を解明することを目的とした。 ラットにDES、PMSG、hCGを投与し、子宮を経時的に採取し、LH-R mRNAの発現を検討した。その結果、PMSG-hCG投与では、hCG投与後24、48時間では20%程に減少し、72時間でcontrolレベルに戻り、96時間では、2.5倍程に増加した。さらにエストロゲンの影響を見るために、DES投与後の子宮で同様に検討を行ったが、DES投与では変化がなく、E_2の効果ではないことが示された。また、hCG単独投与でも同様にLH-R mRNAは48時間まで減少し、72時間では増加した。これらのことより、hCGがin vivoで子宮のLH-R mRNAのDown regulationを起こすことが分かった。さらに、免疫組織学的検討では、子宮の内膜が強く染色されることから、LH-Rは子宮の内膜に発現し、LH/hCGによる直接の作用を受けて、mAMP産生を誘導することが示された。卵巣では、LH-Rの発現の制御においては、LH/hCGによってmRNA、蛋白レベル共に一度は減少することを観察してきた。このため、PMSG-hCG投与後にLH-R mRNAが減少する時の卵巣を採取して、microRNAAのArrayを行い、m136を含むいくつかのmicroRNAを同定した。in vivoの系におけるm136の変化を観察するため、子宮のLH-RとmicroRNAを同時に測定すると、hCG投与によりLH-R mRNAの減少と逆相関してm136が上昇した。このことより、卵巣、子宮ともにLH-R mRNAの変化には、miRNAが関与することが示され今後さらに検討する予定である。
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