ラットにPMSG、hCGを投与することで、子宮におけるLH-R mRNAのDown regulationが卵巣と同様に観察され、子宮の切片にhCGを添加してcAMP産生の増加がみられたことから、機能的LH-Rの子宮における存在が示された。免疫組織学的検討では、子宮内膜上皮が強く染色されるため、LH-Rは内膜に発現し、cAMP産生に働いていることが示された。hCGを作用させた時の子宮におけるmicroRNAの変化に関しては、卵巣同様にmir136の上昇が観察されたため、LH/hCG mRNAの減少に対してmir136が子宮でも関連することが考えられた。卵巣におけるLH作用に関しては、EGF様物質が介在することが明らかになっているため、子宮内膜のcell lineを用いてEGFRの存在について検討した。まずそれぞれの細胞にEGFを添加してMAPKの活性化をERKのリン酸化で確認することができた。HEC-1A細胞は特に感度が良く、1 pg/mlのEGFに反応した。細胞増殖能に関しては明らかな効果は認めることができなかった。Western blotにてEGF-RとHER-2が発現しているかを確認すると、それぞれの蛋白が発現していることも確認できた。免疫染色では、正常内膜でも蛋白発現が確認されたが、G1、G2、G3の内膜癌の患者さんの組織でより強い発現が観察された。これらのことはEGFRの発現と組織の増殖能に関連がある可能性が示唆された。 EGFRとHER-2のヘテロダイマーの形成はEGFのシグナル伝達に重要な意味を持つので免疫沈降法を用いて検討した。293細胞、Ishikawa、HEC-1AとHLE細胞でヘテロダイマーを検出することが可能であった。また、Ishikawa細胞ではHER-2の発現量が最も多く、このためヘテロダイマーもIshikawa細胞で最も多く同定された。
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