研究課題
子宮内感染は、予後不良である在胎32週未満早産の最大の要因となっている。しかし、現状では子宮内(羊水中)の起因菌同定には約1週間を要しており、適切な抗菌薬治療が行えない状況にある。また起因菌として多いマイコプラズマやウレアプラズマは培養が困難で同定しづらいという難点がある。この問題点を克服するために、すべての細菌に保存された塩基配列領域が16sRNA領域にあることを利用して、この部をPCR法で増幅する方法(universal PCR)が考えられる。しかし、細菌由来のTaq Polymeraseを使用すれば必ず微量に存在する細菌由来DNAに反応して偽陽性となってしまう。本年度の研究では、酵母や植物細胞由来のTaq Polymeraseを使用することにより、偽陽性のないuniversal PCR法を確立した。しかし、真菌由来DNAとは交叉反応を示したため、真菌同定のPCR法では細菌由来Taq Polymeraseを使用することにより偽陽性はなくなった。これまで正期産34例、早産18例、後期流産4例の羊水を用いて臨床検査部でPCR法を用いたが、約4時間で検査結果が得られた。ウレアプラズマ、マイコプラズマ、細菌、真菌の検出率は正期産で2.9%、2.9%、2.9%、0%、早期産で16.7%、5.5%、11.1%、0%、後期流産で25%、25%、50%、0%であった。PCR法の結果は、約1週間後に判明した培養検査結果とほぼ一致した。次年度の目標として、7ケ所のuniversal primerを用いて、それぞれの領域のTm値から起因菌を同定するシステムを確立したいと考え、すでにデータベースを構築した。羊水検体を用いてその有用性を実証する予定である。また液体培地を用いた菌の増殖を、定量的PCR法で判定し、6時間以内に薬剤感受性が判明するシステムを試験的に開始したので、臨床検体を用いて、その有用性を検討する予定である。
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