研究概要 |
1. TDPCR法の更なる改良(multiplex IDPCR法) 標的遺伝子(p53, PTEN, K-ras, B-raf)の配列情報から、それぞれの遺伝子の複数領域に対し特異的primerを設定する。通常のMultiplex PCR同様、PCRのannealing温度を一致させるためGC含量を一定範囲内に調節する。また、primer extension反応の産物はビオチンによる修飾とストレプトアビジン磁器ビーズによる回収と、その増幅にnested primerを用い、特異性を担保する。可視化に用いる蛍光標識primerは各領域異なる修飾(6-FAM, TET, HEX, VIC等)とする。このような一連の工夫の結果、子官内膜癌細胞にDNA傷害性のあるアドリアマイシンを添加した後の、p53をはじめとする標的遺伝子に新たに発生したDNA傷害部位を同定することが可能になり、今後の研究への応用が可能となった。 2. 不死化子宮内膜上皮細胞の樹立 不死化子宮内膜上皮細胞の作成にはいくつかの方法が報告されているが、今回我々はHombach-KlonischらのhTERT遺伝子単独導入法を採用して不死化子宮内膜上皮細胞を調整している。現在、20継代まで継代しているが、上皮性性質は保持されているので、不死化はほぼ達成されていると考えている。今後はこの細胞を用いて発癌と各種のホルモンやサイトカインとDNA損傷の部位の関係を上述のTDPCRを使用して検討する予定である。
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