研究課題
今年度は順天堂大学産婦人科を受診した子宮内膜症患者の血液を収集している。Ras/ER/AP-1/MDM2/p53/p21経路に関与する遺伝子群のプロモーター領域のプライマーを設計した。患者血液が集まり次第、DNA多型を解析し、子宮内膜症に頻度の高いDNA多型を決定する。また、子宮内膜症の発生機構を解析するため、ラット子宮内膜細胞株RENT4細胞から幹細胞の分画を含むことが報告されているside population細胞とnon-SP細胞を分取した。Estrogen Receptorの発現はSP細胞に有意に亢進していた。それぞれの細胞に内膜症の発生に関与があることが報告されているK-ras遺伝子を形質導入した。SP細胞にK-ras遺伝子を形質導入したときのみ、長期増殖能・造腫瘍能・ERの発現の亢進・ER転写能の亢進をみとめた。さらに、SP細胞とnon-SP細胞の間で発現に差がある遺伝子をマイクロアレイで解析したところ、エストロゲンシグナルに関与する遺伝子やサイトカインの発現の亢進をみとめた。子宮内膜症合併卵巣癌のサンプルを用いて、免疫染色を行ったところ、正常腺上皮に比べて異型内膜腺上皮の部分にepithelial-mesenchymal transitionに関与する遺伝子の発現亢進がみられた。以上より、子宮内膜症の発生に子宮内膜幹細胞が関与し、エストロゲンやサイトカインのシグナルが重要であることが示唆された。
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