研究概要 |
1.以前我々が、子宮内膜の増殖や癌化に重要であると報告したRas/ER/AP-1/MDM2/p53/p21経路に関与する遺伝子群リプロモーター領域の遺伝子多型を解析するためのプライマーを設計した(MDM2 SNP309,TP53 Arg72Pro,ERαPvuIIandXbaI,p21 codon31)。 2.子宮内膜症の患者サンプル数が目標解析数に達していないため、まず、同意を得た子宮体癌125症例、健常者200例から血液を採取し、DNAを抽出後、PCRとRFLPにより上記遺伝子多型を解析した。 3.MDM2 SNP309 GG型はTT型に比べ、子宮体癌患者でのオッズ比が上昇していたが、有意差はなかった(OR 1.79[0.93-3.30])。TP53,ERα,p21の多型はいずれも関連をみとめなかった。 4.MDM2 SNP309 GG型とTP53 72codonArg/Argのかけあわせは、子宮体癌症例で有意にリスクの上昇をみとめた(OR 2.53,[1.03-6.21]P for interaction=0.04)。 5.P53とMDM2の結合阻害剤であるRITAを用いて子宮体癌細胞株の増殖抑制効果を検討したところ、非添加群に比べてMDM2 SNP309 TT型のHec6は90%、TG型のHHUAは54%、GG型のSawanoは49%であり、MDM2 SNP309のGアリルの存在が阻害剤の効果に影響することが示された。 今後子宮内膜から内膜症への変化の過程にこの多型が関与するのかを検討する。
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