研究課題/領域番号 |
22659305
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
喜多村 健 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (90010470)
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研究分担者 |
野口 佳裕 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (50282752)
沢辺 元司 東京都健康長寿医療センター, 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (30196331)
木村 百合香 東京都健康長寿医療センター, 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (40450564)
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キーワード | 遺伝子 / 医療・福祉 / 神経科学 / 脳・神経 |
研究概要 |
(1)剖検時に採取した高齢者のヒト蝸牛標本の細胞から、レーザキャプチャー・マイクロダイセクションを用い、難聴遺伝子COCH mRNAを抽出・解析し、加齢による組織変化との関連を検討し、加齢に特徴的な分子病理学的変化の有無を同定し、老人性難聴発症・進行の予防法を模索する研究である。 (2)対象は、開頭剖検を行った10症例(平均年齢80.8歳)の側頭骨標本で、前期高齢者5耳(69.4±3.6歳、63~72歳)、超高齢者5耳(92.2±2.9歳、90~97歳)の2群に分けて解析した。 (3)採取した側頭骨をパラフィン包埋し、6μmの厚さの切片を作成し、標識ポリマー法によるcochlinの免疫染色を施行し、基底回転外側壁におけるcochlin陽性部位の相対面積率を画像解析ソフトImage Jにて解析した。 (4)cochlinの発現は、ラセン靱帯,基底板,ラセン板縁に認められた。超高齢者の基底回転ラセン靱帯におけるcochlinは、びまん性に発現しており、陽性面積率は前期高齢者において46.8%であったのに対し、超高齢者では53.9%と超高齢者群においてcochlin陽性面積の占める割合が高い傾向にあった。 (5)さらに、切片をトルイジンブルー染色し、Leica LMD 6000を用い、レーザキャプチャー・マイクロダイセクションの手法でラセン靱帯を採取した。 (6)採取した組織からHigh Pure RNA Paraffin Kit(Rosche Diagnostics)のプロトコールに従い、RNA抽出を行い、更にPreamplification、TaqMan PCR処理を行い、COCH mRNAの相対定量を施行した。 ※老人性難聴に関与する難聴遺伝子産物のcochlinの内耳内発現を解析し、CPCH RNAの相対定量計測を、パラフィン包埋切片から、preamplification法の導入により施行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Cochlinの免疫染色により、内耳内発現については既に解析済みである。今後、年齢変化と内耳内発現の相関、ならびにCOCH mRNAの定量解析を施行する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で課題となるのは、信頼に足るCOCH mRNAの解析であり、今後の研究でも、ハードルの高い障害と推測している。そのために、高品質のRNA抽出法の改良を検討している。
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