研究課題
① 剖検時に採取した高齢者のヒト蝸牛標本の細胞から、レーザキャプチャー・マイクロダイセクションを用い、難聴遺伝子COCH mRNAを抽出・解析し、加齢による組織変化との関連を検討し、加齢に特徴的な分子病理学的変化の有無を同定し、老人性難聴発症・進行の予防法を模索する研究である。② 免疫組織学研究の対象は、10症例 (平均年齢80.8歳)の側頭骨標本で、 前期高齢者5耳(69.4±3.6 歳、63~72歳)、超高齢者5耳(92.2±2.9 歳、90~97歳)の2群に分けて解析した。③ 採取した側頭骨をパラフィン包埋し、6μmの厚さの切片を作成し、cochlinの免疫染色を施行し、基底回転外側壁におけるcochlin陽性部位の相対面積率を解析した。④ 超高齢者の基底回転ラセン靱帯におけるcochlinは、びまん性に発現しており、陽性面積率は前期高齢者において46.8%であったのに対し、超高齢者では53.9%と超高齢者群においてcochlin陽性面積の占める割合が高い傾向にあった。⑤ 次に、COCH mRNAとSLC26A5 mRNAの相対定量解析手法を開発するために、明らかな難聴を認めない70歳、71歳、71歳の3例のホルマリン固定側頭骨のパラフィン包埋切片を作成し、Leica LMDを用い、レーザキャプチャー・マイクロダイセクションの手法でラセン靱帯、ラセン神経節細胞、血管条、外有毛細胞を採取し、各細胞からRNA抽出を行い、COCH mRNA とSLC26A5 mRNAを解析した。⑥ COCH mRNAはラセン靱帯と血管条に、SLC26A5 mRNAは外有毛細胞のみの発現が確認され、本手法が、ヒト側頭骨標本の個々の細胞からのmRNA解析を可能とすることを証明し、我々の研究により、老人性難聴の病態解明において重要なツールとなる蝸牛のmRNA解析法が確立された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Hear Res
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