研究課題
1.発生期網膜前駆細胞におけるTlxおよびVEGF受容体の発現発生期網膜では、網膜前駆細胞がすべての神経細胞(神経節細胞、アマクリン細胞、双極細胞、水平細胞、視細胞)およびミュラーグリア細胞に分化する。本研究では、チロシンキナーゼ型受容体VEGFR2、および核受容体Tlxが同一の網膜前駆細胞に発現しており、さらに神経細胞への分化に伴って、いずれの遺伝子発現も低下することを明らかにした。我々は現在、網膜前駆細胞においてVEGFR2遺伝子を欠失する遺伝子組換えマウスの網膜構造の変化を観察しており、次年度も引きつづき解析を進める予定である。2.神経前駆細胞におけるTlxの役割Tlxはアストログリア細胞に特異的な遺伝子の転写活性を抑制することにより、神経前駆細胞の未分化性維持に寄与することが報告されている。今回我々は、成体ラット海馬由来の培養神経幹細胞において、Tlxが神経細胞特異的遺伝子であるMASH1の転写を亢進することにより、神経細胞への分化を能動的に促進することを明らかにした。これらの成果を基に、次年度では網膜前駆細胞および網膜芽細胞腫においてもTlxが同様の機能を持つか、さらに検討を進める予定である。
すべて 2010
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Mol Cell Neurosci.
巻: 45 ページ: 121-131