TNF誘発視神経障害モデル及び高眼圧モデルを用い、篩状板部の視神経軸索内の形態を電子顕微鏡で検討した。コントロール群では豊富な正常ミトコンドリアが認められたが、ラット高眼圧モデルではオートファゴゾーム様構造が認められた。ミトコンドリアの輸送にkinesin-1が関係しているため、軸索障害におけるkinesin-1を検討した。ミエリン鞘の崩壊に先行して、neuroHlament-Lの減少が起こり、それに先行してkinesin-1の減少がおこることが分かった。また軸索面積あたりのmicrotubulesの定量法も確立した。これは電子顕微鏡所見をソフトウェアで解析し、軸索原形質の面積を算出し行った。これもミエリン鞘の崩壊より、より鋭敏に軸索障害を反映していることが分かった。よって今後軸索保護を評価する際に、ミエリン形態より軸索輸送に関与するmicrotubulesの定量かもしくは輸送蛋白測定の方が、より早期に軸索の状態を判定できることが分かった。ミトコンドリア関連因子であるNmnat3を強制発現させるとTNF誘発視神経障害モデル及び高眼圧モデルにおいて共に軸索保護効果を示した。Nmnat3プラスミド導入自体は眼圧に影響を与えなかった。この強制発現により、オートファジーに関係するLC3蛋白量が上昇していた。LC3は網膜神経節細胞のみならず視神経軸索にも存在していた。これらのことより、あるタイプの軸索保護にオートファジーが関与していることが示唆された。
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