研究概要 |
TNF誘発視神経障害モデル及びラット高眼圧モデルを作製し、オートファジー関連因子であるAtg8(LC-3)とp62のimmunoblot及び免疫染色を行った。LC-3もp62も網膜神経節細胞に存在した。前年度ミトコンドリア関連因子のNmnat3を強制発現し、軸索保護効果を発見したので、引き続きオートファジーとの関係を検討した。Nmnat3DNAプラスミドは硝子体注射後、electroporationを用いて神経節細胞に取り込まれるのをGFPを用いて確認した。GFPが結合した状態で軸索流には乗りにくいため、視神経での発現量はimmunoblottingで確認した。軸索の電子顕微鏡所見では軸索面積あたりのmicrotubulesの定量法を確立し、さらにneurofilamentsの定量化も報告した。これは電子顕微鏡所見をソフトウェアで解析し、軸索原形質の面積を算出し行った(Endocrinology,2011)。ラット高眼圧モデルではLC-3IIとp62の上昇が視神経で認められた。電子顕微鏡所見ではラット高眼圧視神経軸索内にオートファゴゾームを認めた。これらのオートファゴゾームはNmnat3強制発現群でも認められた。さらにrapamycinはオートファジーのinducerとして知られているが、これによりラット高眼圧モデルでの軸索数減少が抑制された。これらのことより、Nmnat3強制発現による軸索保護効果にLC-3IIの増加が関与していること、オートファジーは障害により内因性保護機構として働いており、さらなるオートファジーの誘起が軸索保護につながる可能性が考えられた。
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