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2011 年度 実績報告書

敗血症におけるオートファジーの役割とその制御

研究課題

研究課題/領域番号 22659326
研究機関千葉大学

研究代表者

渡邉 栄三  千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (40375639)

研究分担者 織田 成人  千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (90204205)
キーワード敗血症 / オートファジー / 盲腸結紮穿孔 / 細胞死 / 集中治療
研究概要

【目的】重症敗血症は,集中治療室(ICU)において最も問題となる,いまだ救命困難な病態であり,敗血症に罹患した患者の重要臓器ではあらゆる形態の細胞死が起こっているとされている.しかし,オートファジーと敗血症との関与を報告する研究は未だほとんど無い.今回,敗血症の病態で,オートファジーが如何に関与しているかを解明し,その正もしくは負の制御によって敗血症病態を改善させることを目的とする.
【平成23年度の成果】敗血症時にオートファジーが促進されているか抑制されているかを,マウス腹膜炎敗血症モデル(盲腸結紮穿孔;CLP,cecal ligation and puncture)にて検討した.C57BL/6雄マウスでCLPと単開腹(sham)を作成し,各臓器のオートファジー関連蛋白LC3の経時的発現をwestern blotting法にて解析した.その結果,CLPによりオートファジー誘導を示す膜結合型のLC3-II発現は,全臓器においてsham群に比しCLP群で増強していた.肝,心,脾においてLC3-II発現は顕著に増加し,CLP6時間にピークとなったが,その後減少しCLP24時間ではsham群と同程度となった.よって,CLPモデルの重要臓器において敗血症急性期にオートファジーが強く誘導され,次第に抑制されることが示唆された.
また,GFP-LC3トランスジェニックマウスの繁殖に成功し,それらにCLP手術を施し,肝細胞のオートファジーの動態を免疫蛍光染色にて解析した.術後6時間の標本では,LC3の発現は増強しており,24時間で現弱傾向となった.一方で,オートファゴソームとリソソームの癒合時に増強するLAMP1は,6時間よりも24時間で増強しており,急性期にオートファゴソームの生成が促進していたが,亜急性期には相対的にオートファゴソーム分解のフェーズにシフトしていることが示唆された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

GFP・LC3トランスジェニックマウスの作成に思いのほか難渋したため,オートファジーの抑制もしくは促進の介入実験に及んでいない.しかしながら現在は,同マウスは順調に繁殖し,注目している重要臓器の一つである肝について,すでに免疫蛍光染色による解析が前記のごとくすすんでいる.今後はこの若干の遅れを十分取り戻すことが可能と考えられる.

今後の研究の推進方策

GFP・LC3トランスジェニックマウスに対する,免疫蛍光染色を用いた実験結果から,敗血症病態においてオートファジーが抑制されていると判断された場合は,autophagy hlducerであるrapamycinを,逆にオートファジーが亢進していると判断された場合は,autophagyinhibitorであるbafnomycinA1をCLP手術施行1時間後に腹腔内投与し,オートファジーの制御を試みる.そして,この24時間モデルにおいて,各主要臓器においてCLPによる侵襲が制御されているか否かにつき検討し,survival studyへと進展させる.その他のオートファジーの制御因子としては,インスリンや,侵襲早期の栄養投与なども検討し,オートファジー動態とサイトカイン発現やsurvivalとの関連につき検討を重ねる.

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] 敗血症における細胞死の様式-特にAutophagyをめぐって2011

    • 著者名/発表者名
      渡邉栄三
    • 雑誌名

      ICUとCCU

      巻: 35 ページ: 389-399

  • [雑誌論文] Sepsisの病態におけるAutophagyのTissue Dysoxiaへの影響2011

    • 著者名/発表者名
      渡邉栄三
    • 雑誌名

      日本Shock会誌

      巻: 26 ページ: 26-33

  • [学会発表] 盲腸結紮穿孔(CLP)マウスにおける肝オートファジーの検証2012

    • 著者名/発表者名
      渡邉栄三
    • 学会等名
      第48回日本腹部救急医学会総会
    • 発表場所
      ホテル日航金沢(石川県)
    • 年月日
      2012-03-14
  • [学会発表] マウス盲腸結紮穿孔(CLP)モデルにおける重要臓器でのautophagy発現解析2012

    • 著者名/発表者名
      高橋和香, 渡邉栄三, 織田成人, 他
    • 学会等名
      第39回日本集中治療医学会学術集会
    • 発表場所
      幕張メッセ(千葉県)
    • 年月日
      2012-02-29
  • [学会発表] 重症敗血症の炎症反応にオートファジーが関与している2011

    • 著者名/発表者名
      渡邉栄三
    • 学会等名
      第47回日本腹部救急医学会総会
    • 発表場所
      福岡国際会議場(福岡県)
    • 年月日
      2011-08-11
  • [学会発表] Autophagy-Related Cellular Injury and Inflammation in Sepsis2011

    • 著者名/発表者名
      Eizo Watanabe
    • 学会等名
      The Shock Society's 34^<th> Annual Conference on Shock, Plenary Symposium I
    • 発表場所
      Marriott Norfolk Waterside, (Norfolk, VA, USA)(招待講演)
    • 年月日
      2011-06-11
  • [学会発表] Sepsisの病態におけるAutophagyのTissue Dysoxiaへの影響2011

    • 著者名/発表者名
      渡邉栄三
    • 学会等名
      第26回日本Shock学会総会
    • 発表場所
      アクトシティ浜松コングレスセンター(静岡県)
    • 年月日
      2011-05-21

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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