T細胞マイトジェンであるConcanavalin A (Con A)をマウスに投与すると、マウスは劇症肝炎に陥る。既に、炎症性サイトカインであるIFNγとTNFがCon A肝炎に深く関わることが明らかにされているが、そのメカニズムは詳細には不明であった。一方、申請者らはCon A肝炎に血液凝固亢進が関わることを見出し、凝固阻害剤であるヘパリンを前もって投与しておくと劇症肝炎は回避されることを報告している。当該研究では、どのような細胞・分子メカニズムで凝固亢進に基づく劇症肝炎が誘導されるかを解析した。本年度はCon A投与により発現誘導される組織因子に着目し、以下の項目を明らかにした。 (1)Con A投与により、血液凝固亢進の先導因子である組織因子が肝類洞構成細胞のいずれの細胞で発現誘導されるかを検討したところ、類洞内皮細胞とクッパー細胞を含む肝マクロファージの両者に強く発現が誘導されることが分かった。また、マクロファージ除去マウスを作製してCon Aを投与したところ、肝臓での組織因子の発現、肝臓のフィブリン沈着や肝逸脱酵素上昇のいずれもについて、優位な軽減が認められた。 (2)IFNγのシグナルに必須のSTAT1がCon A投与による凝固亢進と劇症肝炎に必須であることを、STAT1欠損マウスを用いて明らかにした。 (3)肝類洞内皮細胞と肝マクロラァージのいずれめ軸胞においても、IFNγ/STAT1信号が凝固亢進・劇症肝炎に必要であることを、野生型マウスとSTAT 1欠損マウスのキメラマウスを用いて明らかにした。
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