研究課題/領域番号 |
22659331
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
小守 壽文 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (00252677)
|
研究分担者 |
森石 武史 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 技術職員 (20380983)
|
キーワード | 骨細胞 / 廃用性骨粗鬆症 / 力学的負荷 / 骨芽細胞 / 破骨細胞 / Bc12 / 非荷重 / 尾部懸垂 |
研究概要 |
骨量は運動によって増加し、長期の臥床、神経損傷による不動、宇宙での微少重力状態環境下では減少し、いわゆる廃用性骨粗鬆症を呈する。このような力学的負荷あるいは非荷重をいかに感知し、骨量が制御されるかが長年議論されてきた。骨細胞は、骨の中で骨細管中を通る骨細胞突起によって連結し、神経細胞のネットワークのように、骨全体に骨細胞ネットワークを形成している。また、骨表面の骨芽細胞にも骨細胞突起で連結している。このため、古くから骨細胞ネットワークが、力学的負荷を感受し、それを伝達するシステムとして考えられてきた。しかし、骨細胞は骨の中に埋まっているために、その機能を解析することが困難であり、生体内の骨細胞の表現型を培養系で再構築させることも難しく、その機能は多くの間接的な観察から推測されてきた。アポトーシスを抑制する分子Bc12を骨芽細胞に特異的に発現させたトランスジェニックマウスでは、トランスジーンの発現が低下する骨細胞がアポトーシスで死滅した。この骨細胞ネットワークが破綻したマウスを用い、骨細胞の機能を検討した。このマウスでは骨形成が促進しており、また破骨細胞が減少、骨吸収が抑制されていた。したがって、骨細胞は生理的条件下では、骨芽細胞機能を抽制、破骨細胞形成を促進させていることが明らかとなった。次に尾部懸垂を行い、マウスの後肢を非荷重状態にした。野生型マウスでは、破骨細胞が増加、骨吸収が促進されるとともに、骨形成は抑制され、骨量が低下した。一方、Bc12トランスジェニックマウスでは、これらの変化は見られず、骨量は維持された。したがって、骨細胞は、非荷重状態では、破骨細胞形成をさらに亢進させるとともに、骨芽細胞機能の抑制を増強させ、骨量を減少させることが明らかとなった。現在、この分子メカニズムをさらに追求している。
|