研究概要 |
哺乳類において、頭部中内胚葉による視床下部の誘導、及び、摂食調節関連の神経核とニューロンの発生を連続して再現できる培養法は確立されていない。そこで、(1)長期のラット全胚培養の後、引き続き、視床下部培養を行う長期器官培養法を確立すること。を当該研究の目的とし、将来、(2)上記の培養脳をニッシェとして用いて、摂食調節ニューロンを再生する方法を開発すること。を目標とする。作業目標(1); 摂食調節関連の神経核とニューロンの発生を再現できる長期視床下部培養系の確立23年度までに全胚培養(72時間)と器官培養(10日間)の組み合わせ培養により腺性下垂体ホルモン(αMSH,ACTH,LHβ,TSHβ,αサブユニット)の発生が可能になる培養系を確立している。しかし、酸素要求量の高いニューロンの分化(弓状核近傍のαMSHとNPY、外側野のMCH・OR、室傍核のCRH・TPH、背内側核のCCK)の為には、血流の保持する全胚培養を144時間まで行う必要性がある。現在,120時間までの培養は80%以上(10/12)で可能になったが120~144時間(2/12)までに血流を失う。作業目標(2); 摂食調節関連の神経核とニューロンの発生過程における頭部中内胚葉の役割の解明 作業目標(3); 摂食調節関連の神経核のパターン形成とニューロンの分化に関与する分子の同定とその役割の解明 視床下部の発生のためには,間脳腹側(前方神経板由来)、ラトケ嚢(ANR由来)、及び、周囲の間葉(前方中軸中内胚葉由来)の相互作用によるSHH,FGF,BMPの発現領域の確立が必要である。23年度までに、前方中軸中内胚葉の除去実験によって、間脳のShh,Fgf8,Bmp4と周囲の間葉のBmp2の発現が消失することを明らかにしている。作業目標(4); 培養胎児脳をニッシェとして用いる摂食調節関連ニューロンの再生法の開発作業目標(1)~(4)を確立後に行う。
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