研究概要 |
本研究では、まず、3日間のラット全胚培養法と9日間の頭蓋顔面原基の器官培養を組み合わせた培養系を確立した。本培養系における培養胚は、視床下部と下垂体の発生に必要な重要な分子(Lhx1、Foxa2、Isl-1、pitx2、Nkx2.1、NeuroD1、Tpit、Lhx3、Shh、Bmp2、Bmp4、Fgf8)の発現が再現された。さらに、器官培養後の頭蓋顔面原基では、腺下垂体ホルモン(α subunit、POMC、LHβ、TSHβ)発現が再現された。また、本系に前方中軸中内胚葉(前方中軸中内胚葉)の除去実験を適用することよって、前方中軸中内胚葉がLhx1、Foxa2、isl-1、Shh、Fgf8、Bmp4、Bmp2、Nkx2.1の産生に不可欠であることを示され、Shhの中和抗体による機能阻害では、視床下部のNkx2.1産生細胞が減少したことから、Shh分泌性の前方中軸中内胚葉が弓状核(摂食中枢)の発生にとって不可欠であるが示唆された。しかしながら、この系では、器官培養系における酸素不足によって、予定弓状核は、NPY-,αMSH-ニューロンに分化しなかった。そこで、弓状核におけるNPY-,αMSH-ニューロンの発生を再現する為に、さらに長い期間の全胚培養の確立を開始した。これまでの論文の培養条件では、144 時間までに19/25の培養胚で心拍動が消失したのに対し、我々が改良した培養条件では、8/12の培養胚で6日間、心拍動が維持されました。現在、培養胚から摘出した弓状核が、NPY-,αMSH-ニューロンに分化する器官培養系を確立している。
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