研究課題/領域番号 |
22659346
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
坂上 竜資 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (50215612)
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研究分担者 |
永井 淳 福岡歯科大学, 歯学部, 准教授 (70252989)
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キーワード | 移植・再生医療 / 再生医学 / 歯学 / マイクロアレイ |
研究概要 |
本研究は、齲蝕・咬耗・摩耗などによるエナメル質実質欠損に対して、歯胚中の未分化細胞を用いた再生療法を創造することを目的とする。すでに研究者らは、マウス下顎切歯の歯胚を顕微鏡下にて取り出し、数回の継代操作で細胞をばらばらにした後に、硬組織再生に成功している。マウスなどのげっ歯類は恒常的に切歯が伸びるので、その歯胚には高い分化能と再生能があり、歯髄組織から離れた咬合面であってもエナメルを再生することが可能と考えられる。特に生後間もないマウスから活性の高い細胞を採取し、石灰化能を有する細胞を採取して最適な応用技術を開発する。平行して行うもう一つの実験では、分子レベルでエナメル再生技術を創造することを目指し、採取された石灰化前のエナメル小柱の分画成分によるエナメル質再生に挑戦する。 初年度において我々は、硬組織形成細胞のトランスクリプトーム解析をめざして、マウス下顎切歯唇側面の組織(エナメル質形成)、舌側面の組織(歯根膜を形成)、根尖部の組織(多能性を持った幹細胞を含む)、歯肉組織をそれぞれ分離し、遺伝子発現の網羅的解析を進めた(永井が担当)。さらに、計画2年目には生後2年の老齢マウスを用いて、初年度と同じ部位から細胞を採取して遺伝子発現を解析した。老齢マウスでは、根尖の細胞、歯髄細胞がともに、肉眼的にはほぼ消失していた。すでに若年マウスと老齢マウスの遺伝子解析結果は取得ずみであり、この比較はいまだ継続中であるが、本実験が目指す細胞ソースの有用性を明らかにすると考えられる。 また計画2年目には、新たに胎生マウスと生後4日マウスからの歯胚採取を行い、これらの組織塊を初代培養し、細胞の非常に高い活性を確認するとともに、石灰化ノジュールの形成を数多く確認した。今後さらに、in vivoの系に発展して計画を展開する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度は老齢マウスのトランスクリプトーム解析を行い、また胎生マウスと新生マウスからの細胞採取もと組織培養も開始したが、本研究計画の目的である歯周硬組織再生を定量的に観察するには至っていない。計測手法の確立に少し時間がかかっているという状況である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は大学院生とともに、本学病理学講座の応援も得ながらさらに実験推進を図る予定である。in vivoでの組織移植データを得るために、GFPマウスの購入を予定しており現在承認手続き中である。最終年度である今年度中には成果を出したいと考えている。
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