研究課題
骨結合型の歯科インプラントを用いた治療(以下インプラント治療)は、歯が欠損した場合の治療法として確実な治療法となっている。上顎臼歯部欠損症例は多いが、歯槽頂部から上顎洞底までの距離が短いため、上顎洞底の骨造成(上顎洞底挙上術、サイナスリフト)をおこなって、インプラント治療をおこなう症例は極めて多い。サイナスリフトには自家骨や様々な骨補填材が使用されているが、上顎洞粘膜を外科的に挙げ、埋入したインプラントで上顎洞粘膜を支えることで、サイナスリフトが可能であることが報告された。この手法(移植材を使用しないサイナスリフト)は、術式が簡便であること、従来法に比較してコストが低いこと、移植材を使用しないので上顎洞炎を起こす可能性が低いと予測されることが利点である。しかし、埋入したインプラントを機械的に固定するだけの骨が存在しない場合には、不可能である。そこで、サイナスリフトに必要なX線透過性材料を開発することを目的として、本研究をおこなった。申請者がおこなったインプラントを用いた移植材を用いないサイナスリフトの30症例の予後を放射線学的に検討した。上顎洞底までの距離が1㎜でもこの手法は可能であり、合併症は無く、全てのインプラントは機能していたが、上顎洞開窓部の骨形成が不十分な症例があった。吸収性のポリマーであるPLGAとハイドロキシアパタイトの粉末を混合したメッシュあるいはまたスクリューを用いることで、サイナスリフトが可能であることを確認した。この手法は放射線学的に骨造成を確認できること、上顎洞底までの距離が極めて近くインプラントを同時埋入できない場合にも有効であることが大きな利点である。今後は、この材料と手法に改良を加えて、さらに検討を続ける必要がある。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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