研究概要 |
1.混合物の濁り測定 キャリアには,天然多糖のプルランにリン酸基を導入したリン酸化プルラン(PPL)を合成し,殺菌剤には塩化セチルピリジニウム(CPC)を用いた.PPLとCPCを様々な濃度比で混合した水溶液を調整し,15分間静置後に分光光度計で測定した.PPLとCPCを混合すると,コロイド形成により溶液は白濁した。また,PPL:CPC=1:1(重量比)の混合比の時に白濁は最も顕著であった。一方,1:1の割合で混合した溶液を0~1000ppmの濃度範囲で濁度を測定すると。濃度低下に伴い濁度も低下するが,100ppm付近で再び白濁し,再度,コロイドを生成することが明らかとなった。 2.会合状態の評価 疎水部位と結合し青色に呈色するCoomassie Brilliant Blue (CBB)を用いて,PPLとCPCの複合コロイドの会合状態を透過光の吸光度により評価した。CBB評価法によって得られたそれぞれのスペクトルのピークトップは,CPCのみのミセルの場合611 nm, PPL : CPCが1:1の複合コロイド1000ppmの場合612nm同じ複合コロイド100ppmの場合629nmであった。 3.細菌を用いた抗菌効果の検討 歯面モデルには,アパタイト焼結体(HAp)を用いた.う蝕原菌Streptococcus mutansの菌懸濁液を12穴プレートに各4ml分注し,PPLとCPCの混合液で処理したHApを浸漬した.12時間培養後,HAp上に増殖した菌を走査電子顕徽鏡にて観察した.CPCが100と200ppmでは抗菌効果を発現するものの,CPC300,400および500pmでは同じ混合比であり,かつ,CPCが高濃度であるにも関わらず抗菌効果を発現しなかった。
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