研究課題/領域番号 |
22659360
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
戸塚 靖則 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 特任教授 (00109456)
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研究分担者 |
進藤 正信 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (20162802)
東野 史裕 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 准教授 (50301891)
樋田 京子 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 特任准教授 (40399952)
北村 哲也 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (00451451)
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キーワード | ARE-mRNA / AU-rich element / ARE-mRNA / HuR / 転移・浸潤能 / ベルーカス病変 |
研究概要 |
本研究の目的は、口腔がんにおけるHuRの局在、細胞質におけるHuR量と悪性度との関連、ならびに前がん病変におけるHuRの局在と癌化の関連を調べ、それらの関係を明らかにすることである。本年度は昨年度に明らかになった、HuRノックダウンの解析をさらに詳細に行い、また口腔がん細胞のHuRタンパクの細胞内局在、ARE-mRNAの細胞内局在を前がん病変であるベルーカス病変(Verrucous lesion)を用いて確認した。 1)RNA結合タンパクのノックダウン HuRをノックダウンした口腔がん細胞は、足場非依存性の増殖能が低下するなど、がんの悪性度が減弱する。本年度は、HuRノックダウン口腔がん細胞の運動能及び転移・浸潤活性も検討した。スクラッチアッセイによりHuRノックダウンが口腔がん細胞の運動能を低下させることがわかり、マトリゲルチャンバーを用いた解析により、転移・浸潤活性もHuRノックダウンにより減弱することがあきらかになった。さらに転移・浸潤活性に必要なマトリクスメタロプロテアーゼ(MMP)の発現もHuRノックダウン細胞では低下していた。 2)ベルーカス病変でのHuR局在 ベルーカス病変と悪性化が進んだベルーカスがんを用いてHuRの局在を検討した。具体的にはこれまでに治療したベルーカス病変、ベルーカスがんの標本におけるHuRの局在を検討し、HuRの局在と病変の悪性度との関連を検討した。その結果、予想していたように前がん病変のベルーカス病変ではHuRが細胞質に発現する細胞はあまり見られず、悪性度の高いベルーカスがんの方が細胞質へのHuR局在が多く見られた。また従来から使用されているp53などの腫瘍マーカーに比べてHuRはより感度の高い悪性度マーカーであることがわかった。この結果はHuRが口腔がんの悪性度マーカーとして有用であることを示している。
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