本研究のもっとも重要な点である、麻薬プロドラッグ開発を東北大学医学系研究科付属創生応用研究センター、ならびに、東北大学大学院薬学研究科医薬製造科学分野の協力のもと、重点的にプロドラッグ作成を試みたが、結果的に作成には至らなかった。原因としては、臨床使用頻度の高い麻薬性鎮痛薬であるフェンタニル、レミフェンタニルはデンドリマー型のプロドラックになりえないのではないか?また数多くある基質の選択が困難であったと考えられる。 ナノ・マイクロバブルを利用し、脊髄内に投与した鎮痛剤の鎮痛効果がどのような修飾を受けるのかを検討した。ナノバブルにはリポゾームバブルを用いた。ヤクシュらの方法により脊髄カテーテル挿入、1週後、ブレンナンらの方法によりラット後足切開を加え、術後痛モデルラットの作成を作成した。鎮痛効果は薬剤投与後、赤外線熱刺激試験にて経時的に評価を行った。超短時間性ベーター遮断薬であるエスモロールの投与により、濃度依存的な鎮痛効果が見られたが、その効果時間は一時的なものであった。 疼痛発現調節因子の1つであるGlia cell-dependent neutrotrophic factor の遺伝子導入を脊髄後角で試みたが,脊髄後角で遺伝子導入標識色素の確認はできなかった。そこで、手術部位への直接導入を試みたところ、切開筋肉部への遺伝子同級が確認できた。また、この遺伝子導入を行うことにより、自発痛の軽減、機械刺激による抗侵害作用が示されが、熱刺激に対する反応性は認められなかった。
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