研究課題
本研究の目的は、FGFR2関連頭蓋骨縫合早期癒合症の動物疾患モデルを樹立し、病変発症の機序を解明するとともに、FGFR2を標的とした分子標的治療実験を行い、FGFR2関連頭蓋骨縫合早期癒合症の疾患モデルの開発と内科的治療に向けての検討を行うことである。これまで我々は、我々が見出したFGFR2の遺伝子座に骨・軟骨形成異常の疾患感受性遺伝子を有する遺伝子組み換えマウスの頭蓋顎顔面の大きさや形状を規定する遺伝子座を、この遺伝子組み換えマウスの始祖の系統であるMRL/rpl系マウスとC3H/lpr系マウスのF2世代のマウスとマイクロサテライトマーカーを用いて解析した。その結果、我々が見出した足関節に骨軟骨の形成異常を示すマウスの骨軟骨の形成異常には、FGFR2に相当する遺伝子座が関与しているが、頭蓋顎顔面の大きさや形状には、第1染色体と第10染色体に存在する遺伝子座が関与している可能性が示唆された。平成23年度においては、FGFR2関連頭蓋骨縫合早期癒合症の疾患モデルの近交系マウスを樹立することに成功した。この疾患モデルマウスにおいては、ある種のFGFR2関連頭蓋骨縫合早期癒合症にみられる足根骨の異常や癒合が、雄においては80%以上において認められ、マイクロCTによる観察では骨・軟骨の異常増殖による骨の癒合の発症部位は、主に足根骨であり、合指症を示す明らかな所見は確認できなかった。一方、これまで我々は、ナノバブルと超音波を用いた分子導入法を検討してきたが、本研究において開発した疾患モデルマウスとナノバブルと超音波を用いた分子導入法を用いることにより、新規生物製剤(FGFR2のIg-Fc融合タンパク)の投与による治療実験を行うことが可能となった。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件)
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DOI:10.1038/cddis.2011.56