研究課題/領域番号 |
22659365
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小笠原 徹 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20359623)
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研究分担者 |
筑田 博隆 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30345219)
緒方 直史 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (10361495)
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キーワード | 骨再生 / 細胞周期 / 遺伝子操作マウス / 骨代謝 / 骨系統疾患 |
研究概要 |
本研究は細胞周期関連分子(Cdk4/6)を利用した新たな概念に基づく骨粗鬆症・遺伝性骨疾患治療薬の開発に向けた基礎的検討を行うことを目的として計画されたものである。具体的には、細胞周期関連分子(Cdk4/6)の発現・機能を変化させることで、骨粗鬆症・遺伝性骨疾患の改善が可能であるかを検討している。昨年度の解析では、Cdk活性阻害物質が骨芽細胞分化に及ぼす影響を解析して、in vitroにおいてCdk4あるいはCdk6を抑制するだけでなく、同時に骨芽細胞分化能を促進するCdk活性阻害物質を同定することが出来た。しかしながら、その作用機序は不明であったため、今年度はそのメカニズムに関する理解を深める目的で「さらに下流で働く因子」を網羅的手法によって検索した。その結果、細胞周期制御と骨分化の両方に関わる候補因子として複数のZincフィンガータンパクやGタンパク共有受容体等の存在を見出した。現在、これらの因子に関してシグナルの解析を進めている。また、in vivoにおいては、本研究で使用する主な遺伝子操作マウスの飼育・ダブルノックアウトマウスの作製を継続して行い、順次解析も進めている。解析項目として、全身のX線撮影を行って、鎖骨の形成、頭蓋骨縫合の骨化、全身骨格の骨化の程度などを比較検討しているが、現在のところ、in vitroだけでなくin vivoにおいても、細胞周期制御を介して骨量をコントロールすることが可能であることを示唆する結果を得ている。今後、各種マウスが呈する骨系統疾患表現形が細胞周期制御によってレスキューされるかを検証する予定である。(678字)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Cdk活性阻害物質が骨芽細胞分化能を制御することを見出し、その作用機序の解析を進めているとともにダブルノックアウトマウスに関しての知見が得られつつある点において当初の目標を達成出来ていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きダブルノックアウトマウスの解析を継続することで当初の目標を達成出来るものと考えている。問題点を挙げるならば、同胞内での比較が必須であるため、統計解析に十分な数のマウスを順調に得られるかに関して多少不透明な部分が残る。
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