研究課題/領域番号 |
22659384
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
八重垣 健 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (40166468)
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キーワード | 歯肉 / 上皮 / 角化細胞 / 幹細胞 / 基底膜 / integrin / keratin 19 / p63 |
研究概要 |
かつて歯周再生医療のため人工ヒト歯肉上皮が開発されたが、幹細胞が欠如していたがため臨床応用が難しく、人工ヒト歯肉は不可能との定説を得た。そこで本申請研究では、上皮幹細胞から上皮再生を得て、歯肉線維芽細胞・再生骨上で3次元的に歯肉上皮を再構築することを目的とする。先ず、前年度の方法に従いヒト歯肉から採取した組織から上皮を分離した。その上皮細胞をmouse monoclonal integrin alpha 6 beta 4(α_6β_4)antibodyで標識し、次に2次抗体固定化磁気ビーズgoat anti-mouse IgG MicroBeadsを結合してMACS^<[○!R]> Separatorでα_6β_4 negative(α_6β^<neg>_4)分画とα_6β_4 positive(α_6β^<pos>_4)分画に分離した。α_6β^<pos>_4分画をCD71 MicroBeadsにて、MACS^<[○!R]> Separatorで、CD71 positive(CD71^<pos>)分画とCD71 negative(CD71^<neg>)に分けた。その結果α_6β^<pos>_4 CD71^<neg>、α_6β^<pos>_4 CD71^<pos>、α_6β^<neg>_4の3分画が得られた。α_6β^<pos>_4 CD71^<neg>分画が目的のstem-cell分画であった。すなわちkeratinocyte stem cell markersのp63とkeratin 19に陽性であった。 Primary cultureをα_6β_4 integrin抗体で標識して、Alexa Fluor^<[○!R]> 568-conjugated 2次抗体を作用させFlowcytemeterにて陽性細胞数をカウントした。その結果Stem cell populationが概算でき、α_6β^<pos>_4分画は8%程度であった。またα_6β^<pos>_4 CD71^<neg>分画についてGuava^<[○!R]> Cell Cycle reagent(Guava Technologies,USA)を用いFlowcytemeterにてG0/G1、S、G2を同定し分裂期にある細胞数を算出したところ、α_6β^<pos>_4 CD71^<neg>分画ではG0/G1が増加した。Transwell system(Transwell^<[○!R]> Permeable supports,Costar Life Sciences,NY;USA)に、1 well 1あたり5X10^4個の歯肉線維芽細胞(上述)を含むコラーゲンゲルを敷き、DMEM with 10% FBSで7日間培養した。その後、5X10^4 oral keratinocyte stem cells(α_6β^<pos>_4 CD71^<neg>分画)を播種して、EpiLife^<[○!R]> medium中で4日間培養した。すなわち培養上皮組織を液面上まで引き上げ空気に曝露し上皮を形成を試みたところ、上皮らしき生成物が観察できる事があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上皮幹細胞分画で、α_6β^<pos>_4 CD71^<neg>、α_6β^<pos>_4 CD71^<pos>、α_6β^<neg>_4の3分画が得られ、α_6β^<pos>_4 CD71^<neg>分画がkeratinocyte stem cell markersのp63とkeratin 19に陽性であり、目的のstem-cell分画であった。Primary culture中の幹細胞は全数の8%ほどであり、α_6β^<pos>_4 CD71^<neg>分画ではG0/G1が増加した。さらに、上皮様構造物の再生も観察された。
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今後の研究の推進方策 |
先ずは、コンスタントに上皮が再生できるプロトコルの開発に最終年度を大半を費やし、ヒト歯髄幹細胞より、骨芽細胞を分化誘導して、3次元での骨形成を試みる。さらに、再生骨上での上皮再生をめざす。一方で「ex vivo Produced oral mucosa equivalent」で得られた人工歯肉に各種濃度の硫化水素あるいはIL-1,-6、TNFを作用させ、apoptosisなどの病態変化が人工歯肉で観察できることを確認する。
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