本研究において、インタラクティブな教育環境を整備し多層的なシナリオを作成しインプットに適切に対応するアウトプットを具現できるかどうかについて明らかにすることを目指してきた。 これまでは模擬患者を活用する教育実践を通して、医療面接における様々なシナリオの蓄積を行ってきた。しかしながら、その場での対応はあくまで模擬患者役を演じる者に委ねてきたため、その標準化が容易ではなかった。そのためにこれまでに模擬患者役へのインタビューや模擬患者による医療面接場面における参加観察を通して、アウトプットのバラエティについて網羅的な情報収集を継続してきた。それらを基にシナリオからの進展についての類型化についての試みを繰り返し、典型例についてのモデルパターンを構築を通して、成果物としてビデオ教材の開発へと繋げた。 この映像化した教材と既成のフィジカルアセスメントシミュレータとの連動の可能性を探索するために、機器の基本構築の確認と拡張性についての多面的な探索を重ねた。その際には機器のそもそもの開発を行った企業とのコラボレーションを図りつつ、生体情報シミュレータに双方向性のコミュニケーションが可能になるような情報をやり取りするインターフェースについての改良の試みを目指した。 教育支援ラボにおけるパソコンによるプライベートLAN環境でのシミュレータへのコントロールと、それに動画情報をリンクさせることによるeラーニングソフトを活用した学習者とのリアルタイムな情報交換についての可能性を検討した。連結可能匿名化を保持しつつ各学習者のデータを集積できることにより、学習者にとって安心して繰り返し学習ができ、かつ個別性を失わない情報集積を可能にする仕組み作りとなり、教育学習効果をさらに深めることが実現可能になることへ道筋が開けてきた。
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