【本年度の研究目的】在宅で医療行為を必要とする患者の"困難さ"の特徴を明らかにし、在宅療養患者が安心して満足できる療養生活を継続できる為に何が必要なのか検討する。また在宅で訪問看護師が患者に健康管理や医療行為を実施する際に、"判断を必要とする場面とそれへの対処場面"と"ジレンマを感じる場面"の特徴を明らかにし、在宅療養患者が安心し満足できる療養生活を継続できる為に何が必要なのか検討する。 【研究方法】期間:22年9月~23年2月。対象者:訪問看護師から医療行為を受けている在宅療養患者(家族も含む、以下同じ)と、訪問看護師。データ収集法:同意の得られた在宅療養患者に半構成的面接を30分程度実施、また同意の得られた訪問看護師に半構成的面接を45分程度実施。面接は同意を得て録音後逐語録を作成。分析方法:ベレルソンの手法を参考に逐語録の内容分析を実施。【倫理的配慮】研究者の所属する大学の倫理審査を経て研究を実施。【研究結果】東京都と地方都市在住の在宅療養患者(18名)の"困難さ"は、記述数126件、7個の大カテゴリーに分類され、うち5個の大カテゴリーは在宅医療を担う専門的支援に関する"困難さ"であり記述数は6割強を占めた。残りの大カテゴリーは家族が担う世話役割に関する"困難さ"(記述数3割強)と患者の病態に関する"困難さ"であり、在宅医療を担う専門的支援体制を整える対策の必要性と共に、家族の世話役割の軽減の為の対策の必要性が示唆された。更に"良さ"の特徴は84件抽出され、医師に関する"良さ"は少数で、訪問看護師の相談・指導説明・配慮に"良さ"を経験していた。しかし訪問看護師の病態の判断に"良さ"を経験しながら、その判断に基づく医療行為・処置に"良さ"の経験は少数で、医療行為・処置への訪問看護師の役割拡大の必要性が示唆された。看護師の逐語録の内容分析は継続中である。
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