【研究目的】今年度は、看護ケアに応用可能なAcupressure(ツボ刺激)について、ケアの中で効果的に用いることができるツボ刺激の部位、実施方法、その効果について文献より明らかにすることを目的とした。 【用語の定義】Acupressure(ツボ刺激)とは、徒手や母指や手掌等を用いて体表の一部を押圧して生体の変調を整えることとした。広く皮膚に触れ、大きく擦るマッサージとは区別した。 【研究方法】研究デザインは、文献研究。文献抽出は、医中誌の1983年から2010年における文献のうち、キーワード"指圧/acupressure"または"経穴"で検索し、そのうち看護の文献は105件であった。この105件からマッサージやその他の手技を用いているものを除き、指圧を用いて行っている27文献を対象とした。【結果】27件の論文のうち、ツボの部位別にみると、上肢及び手指への刺激と下肢への刺激が最も多くそれぞれ9件、次いで全身への刺激が5件、四肢は2件、腹部は2件、頭部に1件であった。ツボ刺激の目的(効果)は、排便コントロール目的が10件と最も多く、次いで苦痛の緩和4件、分娩の促進、浮腫の軽減、吐気の緩和、リラクセーションなどであった。全27件の文献のうち、ツボ刺激が及ぼす生体への生理的反応を研究したものは5件であった。 【次年度への課題】本年度の研究により、看護では、Acupressure(ツボ刺激)を指圧だけでなく、マッサージなどを含み、指圧を用いたものは少なかった。また、看護者が行うAcupressure(ツボ刺激)が、心拍や皮膚の温度、自律神経活動などにどのような反応を引き起こすのかを明らかにした研究は少ないことがわかった。ツボ刺激に対する生体への反応機序を明らかにし.看護への応用に活用するために、次年度は、計画通りに準実験研究でツボ刺激が及ぼす生体への反応を明らかにしたい。
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