研究課題/領域番号 |
22659399
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研究機関 | 名桜大学 |
研究代表者 |
小西 清美 名桜大学, 名桜大学人間健康学部, 准教授 (50360061)
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研究分担者 |
稲垣 絹代 名桜大学, 人間健康学部, 教授 (40309646)
石川 幸代 名桜大学, 人間健康学部, 准教授 (80512847)
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キーワード | 月経周期 / 多重課題 / ヒューマンエラー / 医療安全 / ワーキングメモリ |
研究概要 |
研究は、6月に倫理審査の承認を得てから実施した。研究は月経前症状の程度について、M大学の女子学生で同意の得られた55名に対し、質問紙調査を行うとともに、実験研究に参加できる人を募った。研究の対象者で実験研究の依頼で同意の得られた人で、かつ月経前症状の訴えが多い女子学生18名を対象とし、対象者と日程を調整し、7月1日から8月10日まで実験研究を行った。研究の目的は、多重課題である視覚・言語的ワーキングメモリ課題を用いて、月経前期および不定愁訴が多重課題の課題遂行力に及ぼす影響について、明らかにすることである。月経前症状の有群の女子学生14名を対象に、月経前期と月経期の2時期を測定し、カウンターバランスをとった。方法は、月経随伴症状(MDQ)を調査し、実験課題を30分間実施させた。また、実験課題を開始から終了まで心拍変動(HRV)を測定した。 その結果、MDQでは月経前期に比べ月経期は、めまい・冷や汗・嘔吐・ほてりやすい等の「自律神経」の因子において有意に愁訴が多く、頭痛・下腹部痛・腰痛等の「痛み」については、愁訴が多い傾向を示した。課題遂行力では、課題遂行量は月経前期で79.4±10.0、月経期で82.9±8.2と月経前期が低い傾向を示した。課題エラー率では月経期に比べ、月経前期が有意に高いエラー率を示した。顔イラストのエラー率では、有意差は観察されなかった。主課題を妨害する副課題でも有意差はなかった。医療現場の医療事故はワーキングメモリ容量の不足が関連するとされている。これより、多重課題を遂行する能力にワーキングメモリ能力が関与し、月経前期の時期で課題遂行力が低く、エラーの発生率が高かったが、不定愁訴との関連はなかった。すなわち、月経時期が課題遂行力への影響を及ぼすので、医療事故の減少のために多重課題の情報量を減らしたほうがよいことが示唆された。
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