【目的・方法】本年度はセルフトリートメントコンテンツの開発を目指し、自己管理に必要な具体的コンテンツ(アセスメントシート)の構築を目的とした。これは、乳がん患者が現在の自分の苦痛状況や対処行動の状況を把握し、気づきを促すことによってマネジメント能力を高めることを目指している。既存の文献レビューや研究メンバーの過去の研究結果を基にしてツールを構築した。 【結果】文献レビューでは、更年期症状の頻度や種類、関連疾患(骨粗霧症等)やセクシュアリティへの影響などの実態と、副作用に対する薬物療法と非薬物療法(ヨガ、運動等)の現状が明らかになった。レビュー結果を踏まえアセスメントシートは包括的な見解から作成する必要性が導き出され、「症状」「生活上の苦痛」「対処」の3部門に分けてアイテムプールを作成した。治療継続の葛藤に関しては、葛藤があれば個別介入した方が好ましく、スクリーニングを目的とした設問形式とした(治療継続への疑問や妊娠希望の有無を問う等)。また、外来治療中患者にはソーシャルサポートは重要だが同時にネガティブな側面も持つ。その部分も含めるのか否か討議を重ね今回は含めないこととした。対象者は更年期症状で気分が不安定なことが多いため、設問の表現や選択肢の表現、回答し易さには十分な配慮をした。討議を重ねた結果、症状24項目、生活上の苦痛25項目、治療継続4項目、対処28項目のシートとなった。現在内容妥当性と表面妥当性を調査中である。 【考察・今後の課題】シートは、ホルモン治療患者の療養生活全般を網羅する内容となり、スクリーニングの目的や、自己管理を促す目的の両方に対応できると考える。今後は本調査を行いシートの信頼性・妥当性(基準関連、構成概念妥当性)の検討を行う。更に、教育コンテンツ(コーピングレパートリー、コミュニケーションの取り方、情報リテラシー等の内容を含む)を構築する予定である。
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