研究課題/領域番号 |
22659403
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研究機関 | 聖路加看護大学 |
研究代表者 |
飯岡 由紀子 聖路加看護大学, 看護学部, 准教授 (40275318)
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キーワード | がんサバイバー / 乳がん / ホルモン治療 / セルフトリートメント / 自己対処能力 |
研究概要 |
【当該年度の目標・方法】本研究ではセルフトリートメントシステムの開発を目指しているが、当該年度では自己管理に必要な具体的コンテンツの開発を目標とした。これは、乳がん患者が現在の自分の苦痛状況や対処行動の状況に対する気づきを促し、マネジメント能力を高めることを目指している。 当該年度では、(1)昨年度開発したセルフチェックシートを洗練させ信頼性・妥当性の検討を行い、(2)文献検討や既存の冊子の内容を踏まえて情報リテラシーに関するコンテンツ開発を進めた。 【結果】(1)「ホルモン治療中の乳がん女性が治療とうまくつきあうためのチェックシート」は副作用症状、生活上の困難感、治療継続の悩み、療養生活上の対処の内容から成る。内容妥当性、表面妥当性の結果では、表現の不備が指摘されたが概ね適切性が高いと評価され、負担度も低かった。これを踏まえ、信頼性及び基準関連妥当性、構成概念妥当性検討のための本調査中である。研究協力施設は3施設であり、予定サンプル数の1/2が収集できている。また、チェックシートの運用に関してはシステムエンジニアとの連携により開発中である。PC入力を基盤とし、利便性の高いシステムとして活用できるようにする予定である。 (2)情報リテラシーに関するコンテンツとして冊子を作成中である。乳がんに関する情報はWeb上、書籍など多岐多様にあり、情報に翻弄される患者は少なくない。より適切な情報を獲得するにはどうしたらよいのか、情報を意思決定に役立つようにするにはどのようにしたらよいのかなどの内容を含める予定である。情報システムや意思決定支援の専門家との検討を重ね、内容を吟味している。 【考察・今後の課題】自己管理能力の向上に向けたこれらのコンテンツはほぼ順調に開発が進められ、次年度(最終年度)は、コンテンツの完成が課題である。更に、これらのシステム運用に向けて、外来看護のあり方にも検討を重ねる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
セルフトリートメントシステムとして計画していたチェックシートの開発やケアコンテンツ開発は順調に進んでいる。最終年度では、ケアコンテンツの完成とシステムの運用化に向けた取り組みを完了できる見込みができており、研究の目標として設定した内容に、ほぼ到達できると予測されるため。
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今後の研究の推進方策 |
コンテンツの完成に向けて、専門的意識や先端研究の把握が不十分と考えられ、情報リテラシーや意思決定支援の専門家との連携を深めるようにした。 セルフトリートメントシステムは外来診療の中で展開する予定であるが、現在の医療事情として外来診療や外来看護の充実化をはかることは、人的資源、物的資源の確保などの問題、経済的問題がある。しかし、在宅療養の推進(在院日数短縮化)や、外来治療の発展を考えれば、外来看護の発展は社会的要望の高い課題である。このズレをどのように解決していくのかについて、医療機関の看護部長などに調査を依頼し、どのようにすれば外来看護が発展していけるのかを検討する予定である。
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