平成23年度研究2年目は、1年目での対象を更に増やし、分析数を増やした。大きな成果をまとめることができた。海外で研究レポートの報告を行った。 目的:熟練助産師の分娩介助時に両手掌に圧力がどのようにかかっているかを初学者と比較する。 方法:実験装置の設定:両手掌に圧センサーをつけ、これをADコンバーターでデジタル変換しパソコンで記録する。ファントームを使用し、模擬分娩(排臨・発露・娩出)場面を作成し、対象者に分娩介助実施させる。この様子をビデオカメラで記録する。対象は学生11名と熟練者17名である。結果:1.分娩介助時に手掌にかかる総圧力は熟練者の方が学生よりも高い。2.圧力の変動を圧力係数で比較すると、熟練者はその状況に応じて圧力をかけたり、抜いたりしているため、学生よりも変動係数が大きい。3.指先と付け根というように、圧力のかかる位置は、熟練者、学生との指先にかかる圧力が強い。4.後頭結節を外す時の右手と左手のタイミングをそれぞれの圧力推移の相関で比較したところ、熟練者は学生よりも相関が高いことが分かった。つまり、後頭結節を外す動作では右手と左手は同じタイミングで圧力をかけており、左右が連動して動いていることが明らかになった。 意義:助産学生の分娩介助技術を向上させるために、いままでどのように介助するかの手順とどこに手を置くかは教授できたがどの位の圧力で、いつその圧を掛けるのかを示すことはできなかった。この結果から、詳細にこれを学生に教授することができる。2つ目の意義は、日本の助産ケアが産婦にとってどれだけ良いケアであるか、hands-onとhands-offの論議の中で示していく手立てとなった。
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