研究課題/領域番号 |
22659410
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
我部山 キヨ子 京都大学, 医学研究科, 教授 (20243082)
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研究分担者 |
谷口 初美 京都大学, 医学研究科, 准教授 (30295034)
柳吉 桂子 京都大学, 医学研究科, 准教授 (50254470)
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キーワード | OSCE / 助産診断 / 助産師教育 / リフレクション / 分娩期 |
研究概要 |
1.シミュレーション助産教育の振り返りにPower Feedbackノートを使用した経験 「目的」シミュレーション学習の振り返りにPFノートを使用してその振り返りの有用性を検討。「実施内容」:分娩後の女性と新生児の健康のアセスメントとケアにおいて、一連シミュレーション演習(ビデオ録画)後の振り返りにPFノートを使用し、「よい」「疑問」「注意」の3項目をビデオ撮影、クリッカーでマーキングし、再生して振り返りを行った。最後に学習モチベーションARCSスケールを用いて、1.5のlikert Scaleで評価した。「結果」学生の意見は利点と欠点に集約された。利点としては「マーキングされた注目すべきケアなど、その時点をわかるので記憶に残りやすい」「他の人の注目するポイントがわかる」「リアルタイムでマーキングするので、忘れることなく振り返りやすい」「全員の意見が盛り込まれる」であり、欠点は「他者のマーキングがわかるので、同調しやすい」「他者がマーキングしていないときにマーキングしにくい」であった。学習モチベーションARCSの平均値はA(Attention)4.4,R(Reference)3,9,C(Confidence)2.8,S(Satisfaction)4.2であった。「考察」自らの行為を振り返る省察的態度と自立的な学びを満ち部区自己学習を支援するのに有用である。 2.OSCE-R法を用いた助産診断に基づいた分娩期教育の試み 「目的」:学生の分娩期の学習課題や到達度を明確化する。「方法」:対象はA大学4回生助産選択学生6名、実施時期-分娩介助を1~2例経験時と10例終了後の2回、状況設定は1回目-1.電話連絡後~入院前、2.入院時~分娩第1期、3.急産の助産介助、第2回目-1.児心音低下、2.分娩時出血、3.回旋異常である。各状況設定場面で、学生2名が助産診断とケアを展開、産婦役は修士課程の大学院生が演じた。評価は助産選択学生6名、大学院生3名、教員3名で行った。演習場面は学習支援ツール「パワーフィードバックノート」(内田洋行製)を用いて録画し、評価者となる学生はリアルタイムに評価や感想をクリッカーでマーキング(メタデータとして映像に付与)した。終了後に評価表(4段階評価)を記入し、録画映像を見ながらリフレクションを行った。「結果・考察」:分娩介助経験が1~2例では、基本的な助産診断とケアプランの立案は習得できていたが、状況に合わせた判断・実施をすることはできていなかった。しかし、評価表にない学生の言動も多角的に観察して意見を出し合い、相互に学び、事故の課題を明確にできていた。分娩介助経験10例目では、産科救急・異常事例においても状況設定の診断及び状況に合わせたケアの判断・実施がほぼできており、学生は自分が経験できていない救急・異常事例についても、OSCE-Rを実施することによって、知識や技術を確実なものに発展させ、教員も学生の問題点をより詳細に把握し、共有することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シナリオの内容についてはほぼ固まったが、精緻さをどの程度にするかが今後の課題である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、助産師学生の分娩期の助産診断の総合的判断力を育成するために、状況設定のシナリオと評価方法のさらなる検討を重ね、助産選択学生(4回生)と修士課程学生の学びの深さなどの違いにも視点を置き、シミュレーション教育を実施し、シナリオ及び評価方法を完成させる。
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