研究課題/領域番号 |
22659416
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
伊藤 道子 北海道医療大学, 看護福祉学部, 准教授 (50341681)
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研究分担者 |
大久保 功子 東京医科歯科大学, 保健衛生学科, 教授 (20194102)
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キーワード | 出産 / 生きられた経験 / 現象学 / 解釈学 |
研究概要 |
本研究の目的は、出産体験はどのように意味づけられているのかを出産した女性の生きられた経験として記述することである。平成23年度は、前年度のパイロット・サーヴェイの分析に基づき、研究上の問いを再検討すること、スノーボール・サンプリングにより研究参加者を募集し、同意が得られた参加者に対して面接を実施すること、これらと併せて現象学的方法の著書を読み、方法論の検討を行った。 微弱陣痛の状態で数日間陣痛促進剤を使用し、陣痛中に嘔吐・失禁して出産した女性は、自分の出産を感謝という言葉で表現していた。また、第1子の出産で陣痛促進剤を使用した別の女性は、痛みの感覚に自分が乗っ取られたと表現していた。医学的介入がないことが出産体験の満足に影響すると先行研究では報告されているが、出産した女性それぞれは新たな意味に出会っていることが示唆された。 方法論を検討するために、Munhall,P.L(2012)の現象学的方法を読んだ。現象学的探究の主要な焦点は思考の様式であり、期待していなかった結果を発見する発見的プロセスに必然的になること。二つの異なる認識は、一つの事実のように思えることの二つの異なる解釈の結果もたらされているということ。現象学的探究のための方法のアウトラインは、(1)没入(2)探究の現象学的目的が現れてくる(3)存在に関する探究、表現、加工処理(4)現象学的文脈の加工処理(5)解釈的相互作用の分析(6)現象学的ナラティヴを記述すること(7)あなたの研究の意味とのかかわりでナラティブを書くこと、である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
スノーボール・サンプリングにより研究参加者を募集していたが、参加人数が少ないため。また、研究上の問いの焦点化に時間を要しているため。リクール解釈学の方法論の前提となる哲学の理解に時間を要しているため。
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今後の研究の推進方策 |
研究参加者の募集をスノーボール・サンプリングのみにせず、出産後入院中に研究参加者を募集して産後1ヵ月健診の場面で同意が得られた女性と出会えるようにする等、募集方法を変更する。方法論は、リクール解釈学に限らず、現象学的であることや現象学的な考え方を述べている著書を探し、隠された意味の解釈について記述されているかどうかを読み、検討していくことも加える。
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