本研究の目的は大都市と都市部以外の地区に住む幼児のTEWL(経表皮水分喪失量)とDemographicsを記述し、その特徴や関連要因を探求することである。本研究の初年度にあたる平成22年度は、子どものTEWLに関連する要因について文献や学会の新しい知見から探求して研究枠組みを定め、研究計画書を作成して研究倫理委員会において研究実施への承認を得ることと、研究分担者の決定や必要物品の購入など、研究基盤を構築することが課題である。4月に研究分担者を確定し、8月頃までは文献を検索しながらその特徴や関連要因を探求し、対象者やデータ収集場所などを定めた。文献検討では、TEWLの関連要因は表皮の状態だけでなく、自律神経やアレルギー免疫等を含むことから複雑であることや、生理面だけでなく湿度などの環境面や運動や食事などの生活・活動面によってもTEWLは変化すること等、関連要因と測定時に考慮すべき事柄を明らかした。測定する地域としては、環境面の関連要因から、大都市(人口が1000万人以上の都道府県)であり人口密度が高いが15歳未満の人口割合が全国平均より少ない東京都と、都市部でない(人口が100万未満の県)で人口密度が低く15歳未満の人口割合が高い福井県を選定した。10月以降は小児の皮膚関連の学会を探して参加し、最新の知見や研究動向を探りながら、研究枠組みを組み立て、研究計画書を作成した。小児のADに関する最近の研究では、子どものTEWLを測定する場合、その影響要因の多様性を考慮して同時に角質水分量を測定していることや子どもの特性不安との有意な関係等、最新の研究動向を踏まえながら研究枠組みを定め、質問紙調査の内容を作成した。3月の本学の研究倫理委員会で審査を受け、条件つき承認を得、現在は研究計画書を修正しつつ、フィールドへのアプローチを準備中であり、研究プロセスはやや遅れながらも順調にすすんでいる。
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