研究課題/領域番号 |
22659426
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
青木 萩子 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40150924)
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研究分担者 |
斎藤 君枝 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (80274059)
成澤 幸子 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (90172585)
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キーワード | 在宅看護 / 老年看護学 |
研究概要 |
本研究の目的は、認知症高齢者のワンダリング行動が気象による影響を明らかにすることである。研究方法は4地域に所在するグループホーム9施設に居住する認知症高齢者16名のワンダリングに関連する行動観察をAlgase Wandering Scale等で観察した。なお、高齢者の家族の同意を得た後に実施した。実施時期は22年度に引き続き23年春季・夏季・秋季・冬季の各2週間である。協力の得られた対象は16名で女性は14名、男性は2名で平均年齢±標準偏差は84.3歳±6.3であり、4つの季節を観察されたのは9名であった。Screening for Wanderingの評価結果で全員がワンダリングのリスクがあった。全対象の観察日(n=714)のワンダリング関連行動の発現を季節との関連で見ると、夏に多かった行動は、「あてどなく歩く」(p=0.01)、「家で迷う」(p=0.00)、など10項目で、秋には「夜中に歩く」(p=0.00)、「空間失認」(p=0.00)など4項目、冬には「同じルートをなんども歩く」(p=0.00)、「馴染みの場所に行く」(p=0.00)など4項目、春は「一か所をグルグル歩く」(p=0.00)、「持続的、固執した歩き」(p=0.00)等の3項目であった。ファイ係数はいずれも0.11から0.24の範囲で弱い関連を示した。さらにアルツハイマー型認知症でADLランクIVのA氏とランクIIIaのB氏2名の男性の行動を比較検討すると、A氏はB氏よりワンダリング関連行動が多かった。A氏の「あてどなく歩く」は常同行動を、家の中での迷子や体が障害物にぶつかる現象は空間的失見当および定位障害が、目の前の人と同じ動作はimitation behaviorと推測された。B氏の行動は秋季に「特定の人を探す」、「不穏」がみられそれぞれ特徴を示した。ワンダリング関連行動と気象データとの関連を検討中であるが、平均気温、日照時間との関連に注目している。24年度は引き続き高齢者個別の分析と、行動発現の生活背景について質的分析を行い、影響要因を確認する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
4季節の行動観察ができ,気象との関連を分析した。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度に研究対象のグループホームの室内温度等環境調査を準備したが適切なデータが得られなかったので、24年度に外気温と室内気温差の大きい夏季と冬季に高齢者の行動観察と室内環境データ収集を再度行う。また、ワンダリング関連行動の発現が生活背景の影響を受けていないか確認するために、グループホームの介護者および認知症専門外来通院患者でワンダリングを経験した患者の家族から情報収集し質的分析によって解析する。なお、質的分析による研究は平成24年3月に新潟大学医学部倫理審査委員会の承認を受けた。
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