乳幼児期の言語獲得については未解明な学術的課題が非常に多い。双生児の場合、生まれてから常に一緒にいることから2人の間のみで通じる独自の言語(Twin Language)を作り上げてしまい日本語の習得に傷害が生じることがある。特に双生児のコミュニケーション能力の中でも幼児期前期における聴覚言語理解能力の遅れは大きな課題としてかねてより指摘されている。 本研究では、かねてより研究協力を得ている双生児家庭28組を対象に家庭訪問調査によりイリノイ言語能力診断検査(ITPA : Illinois Test of Psycholinguistic Test)を実施した。今回のITPA言語聴覚理解能力得点に関与することが考えられる生物学的要因として出生時体重、在胎週数、性別、卵性について関連性を分析した。今回の結果では、'卵性において有意な関連がITPA得点との間に見られた。しかし双生児の言語獲得が遅れる原因として双生児間の親密性も関連するという既報もあることから双生児ペアのペア内での関係や生活環境要因について詳細な分析が必要であることが示唆された。また今回の調査結果では聴覚言語理解能力が2回目の調査でも改善しなかった双生児6名組の5組が一卵性双生児であったことは注視すべき結果と思われる。今後は、双生児同胞内での関連と環境要因に関しての詳細な分析を実施する必要性が示唆された。
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