研究課題/領域番号 |
22659429
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
長江 弘子 千葉大学, 大学院・看護学研究科, 特任教授 (10265770)
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研究分担者 |
斉藤 信也 岡山大学, 大学院・保健学研究科, 教授 (10335599)
片山 陽子 香川大学, 医学部・看護学科, 助教 (30403778)
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キーワード | 在宅緩和ケア / 看護実践の効果 / 患者アウトカム / 地域ケアシステム / ベストプラクティス / 在宅死 / 家族の看取り |
研究概要 |
H23年度は、第2段階として非がん患者・家族の緩和ケアにおける看護実践の効果を分類し、それに関連する看護実践を構造化することを目的として研究を実施した。 1)ケーススタディ法と看護実践の効果測定に関する調査 患者・家族のアウトカムに焦点を当てるため、実践事例を分析するケーススタディ法を用いた。 75歳以上の高齢者で心疾患、呼吸器疾患患者の在宅緩和ケアにおける在宅支援診療所医師と看護師との連携に焦点を当てケースを分析した。分析の結果、非がん患者の緩和ケア実践の焦点は「病状管理」「疼痛管理」を基本にしながら、「患者の意向に沿う」のため「アセスメント、モニタリング、教育、指導を繰り返す」「関わるチームで共有する」介入をし、患者・家族の生活を継続する上で必要な知識・技術の向上を図り、家族が最期まで看取ることができるように支援する。その結果、不安の少ない看取りとなり、在宅死の可能性を高めていた。その根拠は、医師や看護師が予後をいつ予測し、その予測をチームで共有したかが、看取りまでのケアに大きく影響していることが示された。 これまでの研究から、訪問看護ステーションの看護師と在宅支援診療所の医師との連携で患者・家族が不安なく看取ることができる体制構築の意義が示されていたが、その根拠となるのは予後予測とその判断の共有化であることが明らかになったと考える。 2)調査結果における妥当性の検証は次年度のデルファイ調査に変更した。 得られた結果の信頼性、妥当性を実践への適用性を確保するため、フォーカスグループミーティングを行う予定であったが、より広範な実態把握と共通性を見出すため、1)の調査結果を構造化し在宅療養支援診療所や訪問看護ステーションを対象としたデルファイ調査を次年度実施することとした。それにより、予後予測の実態とその判断の共有化の実態を把握し、ベストプラクティスの抽出を試みる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
地域緩和ケアの実態は、在宅療養支援診療所の医師や訪問看護師の個別的な実践にとどまっている。焦点を絞ってデータ収集することが肝要である。今回のフィールド調査では、その実践の根拠となる予後予測の判断とその共有化に絞ることができた。何をもって「ベスト」とするかの根拠として有用と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
質的なデータ収集法であるフォーカスグループミーティングから、次年度にデルファイ調査に変更した。 その理由は、地域緩和ケアの実践は個別的な実践にとどまっているため、何らかの共通性を導き出すためには、広範な人々とのコンセンサスを見出すことが重要と考えた。しかし、医師や訪問看護師を対象にした調査は回収率が低いといわれている。デルファイ調査においては、この研究の意義を理解し数回の調査でも脱落しないよう協力者を選ぶ必要がある。また調査対象とする医師や看護師の地域を何らかの基準で統一しておく必要もある。地域包括ケア体制における地域特性や背景要因も調査項目に入れ、ベストプラクティスに影響する要因も探索する必要があると考えている。
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